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コンビニバイトの男の子
第10章 耽溺
貴之が自宅の庭でガーデニングをしている時に、隣の2階から真沙人が顔を出し、お喋りしたことがあったのを思い出した。星野家のリビングも寝室も、庭に面している。
(子供部屋から、盗撮、していたということか。私と同じように・・・)
貴之は崩れ落ちるように、椅子に座った。真沙人に目を向けると、バツが悪そうに顔を背ける。
ちょうど同じ日に隣に入居した竹内家とは、すぐに親しい関係になった。小学生だった真沙人を、子供のいない貴之と萩子はよく可愛がった。人見知りだった真沙人も、二人に懐いてくれた。特に萩子に対して、思春期に入った男の子特有の淡い恋心を抱いていたことを貴之は知っていた。幼い頃見ていたと思われる子供向け番組を真似て、萩子のことを‘’しゅうこお姉さん‘’と呼んでよく話をしてくれた。
『こんにちは!しゅうこお姉さん』
『しゅうこお姉さん、今日こんなことがあったんだよ』
『ねぇ、しゅうこお姉さん!聞いてよ。友達がね、・・・』
しかし、成長するにつれて会話をすることも無くなり、高校受験を控えた昨年あたりから見かけることも少なくなっていた。久しぶりに間近で見る真沙人は、顔は母親似の優しい面影が残っているものの、大柄な父親に似てがっちりした体格になっていた。
(大きくなっても、憧れは変わらなかったということか・・・)
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