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第3章 3

驚きの表情を浮かべている私とは真逆に彼女は無表情のまま淡々と部屋の掃除に取り掛かる、初日に挨拶してくれた時とは印象が正反対でもしかしたら嫌われてしまったのではないかと緊張しているとそっと彼女が声を出した
「ジョーンとはどこで知り合われたんですか」
「日本に住んでいた時に英会話塾で」
「ジョーンが講師をしていたときですね、てことはあなたは生徒さんだったの？」
「はい、、、」
気まずすぎて時間が止まっているように感じる。探りを入れられていることは確かだがなぜいちメイドである彼女がそんなことをするのだろうか。私は一般家庭で育ったから分からないが20年近く彼のそばでいたから母親のような気持ちになるものなのだろうか、それともジョーンの母親からなにか言われて探ってきているのだろうか。
「ジョーン様のどこをお気にいられたのですか」
「優しいところとか..私のことを考えてくれるところとか...ですかね」
「ぷう..ははははは」
好きなところを聞かれ戸惑いながら答えると彼女の口から堪え切れなかった笑い声が漏れた。私がフリーズしていると彼女は笑いを堪えるのをやめ目に涙を浮かべながら「ジョーンがあなたのことなんて好きなわけないじゃない」と言い放った。突然言い放たれた言葉に対応出来ずにいると彼女は話し続けた。
「あなたジョーンのこと本当によく知っているの？」
「え、いや..」
「ジョーンの好きな食べ物は？趣味は？好みの女性のタイプは？」
「えっと...」
「何も知らないのによく優しいだとか私のことを考えてくれる〜とか言えたものね」
彼女からの追撃に反撃できない自分が恥ずかしくみっともなく感じた。ジョーンと付き合ってかなり長い時間を過ごしたし食事も何百回としてきたのに好きな食べ物すらパッと出てこないなんて私はジョーンの何を見てきたのだろうか。私は勇気を振り絞って言葉は発しようとしたが彼女の言っていることが図星で言葉を出そうにも言葉が見つからず黙るしかなかった。そんななんとも地獄のような時間がただただすぎていた時視界になにか古い封筒のようなものが見えた、差し出しているのはメアリーだ。