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第24章 自縄自縛

サランは考えた。

　　　　自分は兎も角、
　　　　聖麗那はバストも
　　　　決して小さくはない。
　　　　EカップかFカップくらい。
　　　　でも、男たちは
　　　　興味を示さない。
　　　　ユニフォームの
　　　　ゴルフウェアは
　　　　二人とも同じ。
　　　　なのに、この差は？
　　　　聖麗那の様子を見た。
　　　　呆けた様に、
　　　　実雅子を見ていたが、
　　　　顔立ちは悪くはない。
　　　　切れ長で、尖った顎。
　　　　韓国なら美人で通る。
　　　　日本では？ダメ？
　　　　二人は何が違う？
　　　　丸顔で丸い目の実雅子。
　　　　シャープな顔で
　　　　シャープな目の聖麗那。
　　　　日本の男は丸いものが好き？
　　　　国旗も日の丸だものね。
　　　　そう思うと、実雅子は、
　　　　乳房も丸い、尻も丸い。
　　　　顔も丸い。目も丸い。
　　　　何もかもが丸い実雅子。
　　　　おっとりとした性格。
　　　　性格も丸い。
　　　　鋭さのない表情、顔、目、顎。
　　　　実雅子との過去の出来事を
　　　　思い出すサラン。
　　　　周囲にいた日本人の男たちが
　　　　実雅子をどう言っていたか？
　　　　「妹尾実雅子さんって
　　　　平家物語の『妹尾最期』の
　　　　兼康の末裔らしいよ」
　　　　と言っていたのは、
　　　　文学部の真鍋なんとか。
　　　　同じ岡山ということもあって
　　　　実雅子を持ち上げていた男。
　　　　「平安時代末期だろ。
　　　　名家のお嬢なんだ」
　　　　と、生まれた家が物語に
　　　　出てくるというだけで、
　　　　感傷的になる日本人。
　　　　「○○女学院中高なんだって。
　　　　無茶苦茶、勉強できるんだ」
　　　　と、出身の中高で驚いていた
　　　　男もいた。
　　　　今、同じ大学に通っているのに
　　　　出身の中高で、評価する愚かさに
　　　　愛想が尽きる思いだったけど、
　　　　日本人にはそれも評価対象なの？
　　　　実雅子に男子たちは、
　　　　「お嬢様」「お姫様」と敬い、
　　　　「上品で知性的な才媛」と褒めた。
　　　　実雅子の緩慢な所作も、
　　　　「お上品だ」と言っていた。
　　　　意味もなく微笑む表情も、
　　　　「育ちが良い」と言っていた。
　　　　笑顔で頷く様子も、
　　　　「聞き上手」と持て囃した。