パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第34章 翔太とのデート

「わかりました」

実雅子は答えた。自然に言葉になった。

　　　　二人だけの時・・・。
　　　　限定なら・・・。
　　　　というか、
　　　　想いに応えたい。

実雅子は、思った。実雅子の言葉を聞いて頷いた佐川。

　　　　嘘でも偽りでもない。
　　　　俺は、お前が好きだ。
　　　　愛している・・・。
　　　　と、同時に、
　　　　俺は、お前を穢したい
　　　　とも思っている。
　　　　どうせ、俺にものには
　　　　ならないなら、
　　　　手に入らないなら、
　　　　この手で粉々に
　　　　叩き潰してやりたい。
　　　　でも、俺にはわかる。
　　　　叩き壊したとしても、
　　　　俺の心からお前が
　　　　消えないことを。
　　　　いや、それ以前に、
　　　　俺に、叩き壊せるか？
　　　　俺の中にある憧れや
　　　　好意の対象としての
　　　　実雅子を壊せるか？
　　　　いや、既に壊せている。
　　　　実雅子を抱けば壊せる。
　　　　貞節な淑女というイメージを
　　　　壊すことができる。
　　　　夫が許そうと、
　　　　夫以外の男に抱かれる
　　　　ということは、
　　　　そういうことだ。
　　　　蟻の一穴だ。
　　　　ここから、実雅子を崩す。
　　　　そして、堕としきれば、
　　　　俺の中のわだかまりも消えるはずだ。

踏切が開いた。

「渡ろう」

佐川が実雅子の手を引っ張った。

大極殿などを見て、東院庭園を見た。

「こうして一緒にいれば、誰の目にもカップルか夫婦さ」

佐川は実雅子に話した。周囲にはベビーカーを押す子連れの夫婦がいた。たしかに、その夫婦の視線は、同じような夫婦を見るような視線だった。若いから出産はまだなのかしらというような雰囲気で見る視線。

「次は、奈良公園に行くよ」

駐車場に戻ってきて、佐川が言った。少し雨が弱まっているように感じ、空がわずかに明るくなっているように感じた実雅子。

その景色は、実雅子の心に似ていた。そう、わずかに明るく・・・。

車を走らせる佐川。

「奈良公園に美味しい漬物バイキングの店があるからそこでランチにしないか？」

佐川が言った。漬物バイキング？初めて聞くコンセプトに興味を抱いた実雅子。

「面白いね。漬物バイキングって」

そう答えて、了解した実雅子。