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第34章 翔太とのデート

やっとご馳走さまをした実雅子。

　　　　一応、デートなんだからさ、
　　　　もう少し、遠慮しようぜ。
　　　　ま、食べ放題だからいいけど。

「ごめんね。あまりに美味しいから、翔太くんとこのあとエッチすること、忘れていたわ」

と、店を出てから話す実雅子。また、雨脚が強くなってきていて周囲に人影はないとはいえ、大胆発言をした実雅子。

「食後の運動もかねて、大仏殿まで行くぞ」

佐川が言った。

「そうね。ここまで来て大仏様を拝まないと罰が当たるわ」

と、笑う実雅子。大仏殿の拝観料を支払い、大仏殿の中に入って、間近で大仏様を拝んだ実雅子と佐川。

そのあと、ブラッと、正倉院を見学して、鹿に近づかれることもなく、無事に車に戻り、宿泊予定の旅館に着いた。

和風が好きな実雅子には、今どきの海外から来たホテルより、日本旅館という雰囲気の方が好きな様子で、案内されて、部屋に入るなり、座卓に座椅子で満足そうに、お茶を淹れた。

「歩くと疲れるし、喉が渇くわ」

と、佐川の分もお茶を湯のみに入れて、自分も入れると半分ほど飲んで、座椅子の背もたれにもたれる実雅子。時計は、午後3時過ぎ。三時からチェックインできるとはいえ、多分、一番乗りくらい。

遠方から来た人なら、ここに荷物を置いて、奈良町散策などに出かけるのかもしれない。

部屋には部屋付き露天風呂があって、いつでも入れるように湯が溢れるくらいになっていた。部屋には浴衣も置かれていた。お茶を飲んで、少し落ち着いた実雅子が、確認していた。

佐川は、さすがに、ソワソワしている感じで、

「なあ、どうする？」

と、如何にも、エッチしようぜ？という感じ・・・。

「どうするって？」

と、実雅子も、わかっていると言いたげな感じで返した。視線が交差する二人。

「とりあえず、俺、この湿度で汗も掻いたし、汗を流すわ」

佐川が、前向きな話を切り出した。

「そうね。さきに入って・・・。わたしは、お昼を食べ過ぎたみたいだから、もう少し落ち着いたらにするわ」

と、答えた実雅子

　　　　そうだよ。
　　　　食べ過ぎだよ。
　　　　後の予定も考えて食べろよ。
　　　　マジで・・・。

心の中で悪態をつきながら、服を脱ぐ佐川。