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誰にも言えない、紗也香先生
第6章 アリス

「お入りなさい。ここが“バウンド”──あなたの心がほどけ、そして縛られる世界」
リザの声は、やわらかな呪文のように耳元で囁いた。
その手が静かに扉を押し開けると、内側は漆黒。
まるで光が、最初から拒まれていたような部屋。
私は少し震えながら、一歩、また一歩と進む。
サイハイブーツのピンヒールが、床に静かなリズムを刻むたび、胸の奥がきゅっと締まる。
「真ん中へ……そう、そこ」
リザの導きに従いながら、私は部屋の中心と思われる場所に立った。
そして──見えない手が、私のガウンのリボンをほどいた。
絹の布がすべるように落ちていく。
でも、不思議と音はしなかった。
それはまるで、夢の中で脱がされたような感覚。
……もうひとつ、別の布の落ちる気配。
おそらく、リザも同じように──。
暗闇の中、目ではなく、感覚だけが世界を照らす。
「目を使わないで、舌で見るの」
そんな囁きに、思わず息を呑んだ。
リザの肌、そして滑らかなガーターストッキング。
私の唇がそっと触れるたび、まるで“見る”ように感じ取っていく。
柔らかく、少しだけ冷たく、でもすぐに熱を返してくる。
そのまま、私はリザの身体を“感じながら”上へ、上へと辿る。
花の香りと、官能的なサテンの肌触りが交錯する。
リザの指が私の頬を撫でる。
真っ暗な空間で、私の世界は舌と指先で満たされていた。
縛るとは、支配ではなく、預けること。
“Bound”の意味が、少しだけ、身体でわかった気がした──。
リザの声は、やわらかな呪文のように耳元で囁いた。
その手が静かに扉を押し開けると、内側は漆黒。
まるで光が、最初から拒まれていたような部屋。
私は少し震えながら、一歩、また一歩と進む。
サイハイブーツのピンヒールが、床に静かなリズムを刻むたび、胸の奥がきゅっと締まる。
「真ん中へ……そう、そこ」
リザの導きに従いながら、私は部屋の中心と思われる場所に立った。
そして──見えない手が、私のガウンのリボンをほどいた。
絹の布がすべるように落ちていく。
でも、不思議と音はしなかった。
それはまるで、夢の中で脱がされたような感覚。
……もうひとつ、別の布の落ちる気配。
おそらく、リザも同じように──。
暗闇の中、目ではなく、感覚だけが世界を照らす。
「目を使わないで、舌で見るの」
そんな囁きに、思わず息を呑んだ。
リザの肌、そして滑らかなガーターストッキング。
私の唇がそっと触れるたび、まるで“見る”ように感じ取っていく。
柔らかく、少しだけ冷たく、でもすぐに熱を返してくる。
そのまま、私はリザの身体を“感じながら”上へ、上へと辿る。
花の香りと、官能的なサテンの肌触りが交錯する。
リザの指が私の頬を撫でる。
真っ暗な空間で、私の世界は舌と指先で満たされていた。
縛るとは、支配ではなく、預けること。
“Bound”の意味が、少しだけ、身体でわかった気がした──。

