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誰にも言えない、紗也香先生
第6章 アリス

長く、深く、溶け合うようなキスの余韻のなか。
私の首元に付けられた青いチョーカーへ、カチリ、と金属の音が重なる。
……頭上から、ひとつのチェインが静かに降りてきていた。
チョーカーに繋がると同時に、私の身体はそっと引かれるように、立ったままの姿勢を保たされる。
「もう入っていいよ」
リザの声と同時に、音もなくドアが開いた。
薄い光の中、ひとりの裸の女性の影が部屋へと入ってくる。
その髪が、一瞬だけ金色に輝いた。
──え? あの子?
そう思った瞬間には、部屋は再び深い闇に戻っていた。
その影が、ゆっくりとこちらへと歩いてくる気配。
そして……私の手を取って、長く硬い棒のような道具を握らせた。
「Please」
それだけだった。英語のその一言だけで、すべてが伝わった気がする。
“どうぞ、自由に”──そんな風に。
やっぱり……あの子だ。
でもなぜ、メイド服を脱いで──裸でここに?
「今度は……耳で見るのよ」
そう囁いたのはリザか、それとも彼女か。
ふたりの気配が静かに離れていき、私は一人残された。
部屋はしん……と静まり返る。
でも、その沈黙の中に、何かが始まる前の緊張がゆっくりと膨らんでいく。
私は手に握った黒い道具が、何かを求めるように脈打っているのを感じた。
……そう、見なくても分かる。これは、あれだ。
「え……まさか……」
そして──
あの二人の、
湿った音、肌が擦れる音、浅く震える呼吸。
……耳で“見る”世界が、少しずつ形を持ち始めた。
視界を失うことで、すべてが逆に鮮明になる。
つらい、焦る……でも、信じる。信じなければいけない。
私はそのまま、ブーツに支えられ、まっすぐに立ち続けた。
そして、黒い道具が、そっと体の中へと消えていった。
ひとつ、ふたつ、身体の奥に波紋のようにひろがっていく。
……まるで夢の中の波打ち。
重なり合い、また引いて、また押し寄せる。
私の首元に付けられた青いチョーカーへ、カチリ、と金属の音が重なる。
……頭上から、ひとつのチェインが静かに降りてきていた。
チョーカーに繋がると同時に、私の身体はそっと引かれるように、立ったままの姿勢を保たされる。
「もう入っていいよ」
リザの声と同時に、音もなくドアが開いた。
薄い光の中、ひとりの裸の女性の影が部屋へと入ってくる。
その髪が、一瞬だけ金色に輝いた。
──え? あの子?
そう思った瞬間には、部屋は再び深い闇に戻っていた。
その影が、ゆっくりとこちらへと歩いてくる気配。
そして……私の手を取って、長く硬い棒のような道具を握らせた。
「Please」
それだけだった。英語のその一言だけで、すべてが伝わった気がする。
“どうぞ、自由に”──そんな風に。
やっぱり……あの子だ。
でもなぜ、メイド服を脱いで──裸でここに?
「今度は……耳で見るのよ」
そう囁いたのはリザか、それとも彼女か。
ふたりの気配が静かに離れていき、私は一人残された。
部屋はしん……と静まり返る。
でも、その沈黙の中に、何かが始まる前の緊張がゆっくりと膨らんでいく。
私は手に握った黒い道具が、何かを求めるように脈打っているのを感じた。
……そう、見なくても分かる。これは、あれだ。
「え……まさか……」
そして──
あの二人の、
湿った音、肌が擦れる音、浅く震える呼吸。
……耳で“見る”世界が、少しずつ形を持ち始めた。
視界を失うことで、すべてが逆に鮮明になる。
つらい、焦る……でも、信じる。信じなければいけない。
私はそのまま、ブーツに支えられ、まっすぐに立ち続けた。
そして、黒い道具が、そっと体の中へと消えていった。
ひとつ、ふたつ、身体の奥に波紋のようにひろがっていく。
……まるで夢の中の波打ち。
重なり合い、また引いて、また押し寄せる。

