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誰にも言えない、紗也香先生
第6章 アリス

キャンドルの炎が、ゆらゆらと部屋の壁を照らしている。
そこに映る影は、結ばれた花のように揺れて、
静寂の中の呼吸が、炎の鼓動と重なっていく。
ベッドの端から端へと、
私のブーツの足首にある小さな金属リングが繋がれ、
まるで柔らかな筆で、宙に「人」という字が描かれていた。
──貼られた体は、ただ拘束ではない。
それは愛の字形。
サヤの意思で、リザの想いで、描かれた信頼の輪郭。
その下で、鏡合わせの花が静かに、丁寧に、
お互いを見つめ合うように開いていく。
指先が触れるたび、
息の風が通るたびに、
夢の中の花びらがそっと揺れた。
ひとつ、ふたつ……波のように続いた長い夢が、
静かに、一段落の場所へたどり着こうとしていた。
その余韻の中で、
リザの声が、ろうそくの灯りのようにゆっくりと灯る。
「……バウンド、始まりは信の糸、終わりは敬の羽衣。
歓びも、痛みも……この瞬きを彩る、一滴の真実」
私の胸に、やさしく降りてくるその言葉は、
まるでリザのキスのように感じられた。
「サヤは私を信じた。私もサヤを信じる。
これが“バウンド”──この旅の始まり」
「うん……」
ぼんやりとしながらも、サヤは小さくうなずく。
言葉よりも、心の奥の声でリザに伝える。
──バウンドの旅は、
リザと一緒じゃなければいけないと、知っているから。
そして……
「ふふ……じゃあ、続きをしましょうか」
リザの声が、ほんのすこし、艶っぽく甘く揺れる。
今度は悪戯っぽい魔女の顔に戻った彼女が、
サヤの首元に手を伸ばして──
夜の演奏、最終楽章へ。
──そして、幕を閉じ、沈黙が場を包み込んだ。
そこに映る影は、結ばれた花のように揺れて、
静寂の中の呼吸が、炎の鼓動と重なっていく。
ベッドの端から端へと、
私のブーツの足首にある小さな金属リングが繋がれ、
まるで柔らかな筆で、宙に「人」という字が描かれていた。
──貼られた体は、ただ拘束ではない。
それは愛の字形。
サヤの意思で、リザの想いで、描かれた信頼の輪郭。
その下で、鏡合わせの花が静かに、丁寧に、
お互いを見つめ合うように開いていく。
指先が触れるたび、
息の風が通るたびに、
夢の中の花びらがそっと揺れた。
ひとつ、ふたつ……波のように続いた長い夢が、
静かに、一段落の場所へたどり着こうとしていた。
その余韻の中で、
リザの声が、ろうそくの灯りのようにゆっくりと灯る。
「……バウンド、始まりは信の糸、終わりは敬の羽衣。
歓びも、痛みも……この瞬きを彩る、一滴の真実」
私の胸に、やさしく降りてくるその言葉は、
まるでリザのキスのように感じられた。
「サヤは私を信じた。私もサヤを信じる。
これが“バウンド”──この旅の始まり」
「うん……」
ぼんやりとしながらも、サヤは小さくうなずく。
言葉よりも、心の奥の声でリザに伝える。
──バウンドの旅は、
リザと一緒じゃなければいけないと、知っているから。
そして……
「ふふ……じゃあ、続きをしましょうか」
リザの声が、ほんのすこし、艶っぽく甘く揺れる。
今度は悪戯っぽい魔女の顔に戻った彼女が、
サヤの首元に手を伸ばして──
夜の演奏、最終楽章へ。
──そして、幕を閉じ、沈黙が場を包み込んだ。

