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誰にも言えない、紗也香先生
第6章 アリス

夜明けの少し前。
自分のアパート、静かな食卓。
私は目を閉じて、一息ついていた。
お風呂場から、水の流れる音が止まり、
ラテックスのブーツを静かに拭く音が、次の気配を告げた。
「サヤ様」
小さくて甘い声が、耳にそっと触れた。
目を開けると、そこにはアリスの笑顔。
白黒のメイド服に、真っ白なニーハイソックス。
…可愛い。思わず抱きしめたくなる衝動。
彼女は私のシルクのガウンを器用に脱がしながら、
裸の私を、花を観察するような瞳で見つめていた。
「どうしますか?」
カミソリを手にしたアリスが、下から上へ私を見上げた。
「けっ、こうです…っ!」
目と目が合った瞬間、私の声が震える。
…その後、軽やかに挨拶をして、
彼女は、私のアパートを出ていった。
私は、綺麗に磨かれたブーツを見つめる。
リザの香りを探すように顔を近づけ、そっと舌を伸ばす。
けれど、もうそこには、あの夜の匂いは残っていなかった。
現実に戻ったはずの部屋で、
幻想の中の「バウンドの扉」のことを想う。
目でも手でもなく、心と拘束された体でしか開けない扉。
――あれは夢?それとも、私の中の、もう一つの現実?
自分のアパート、静かな食卓。
私は目を閉じて、一息ついていた。
お風呂場から、水の流れる音が止まり、
ラテックスのブーツを静かに拭く音が、次の気配を告げた。
「サヤ様」
小さくて甘い声が、耳にそっと触れた。
目を開けると、そこにはアリスの笑顔。
白黒のメイド服に、真っ白なニーハイソックス。
…可愛い。思わず抱きしめたくなる衝動。
彼女は私のシルクのガウンを器用に脱がしながら、
裸の私を、花を観察するような瞳で見つめていた。
「どうしますか?」
カミソリを手にしたアリスが、下から上へ私を見上げた。
「けっ、こうです…っ!」
目と目が合った瞬間、私の声が震える。
…その後、軽やかに挨拶をして、
彼女は、私のアパートを出ていった。
私は、綺麗に磨かれたブーツを見つめる。
リザの香りを探すように顔を近づけ、そっと舌を伸ばす。
けれど、もうそこには、あの夜の匂いは残っていなかった。
現実に戻ったはずの部屋で、
幻想の中の「バウンドの扉」のことを想う。
目でも手でもなく、心と拘束された体でしか開けない扉。
――あれは夢?それとも、私の中の、もう一つの現実?

