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誰にも言えない、紗也香先生
第7章 日暮れのブランコ

帰ろうとしたそのときだった。
「紗也香先生、ちょっといい?」
おばちゃんが微笑みながら、奥から差し出したのは、白と黒のクラシカルなメイド服。
「うちの新作なんだけど、もし良かったらモデルになってくれない? 写真だけでいいから」
その瞬間、胸の奥にふわっと浮かんだのは、あの夜のアリスの笑顔だった。
彼女が私のガウンを脱がせながら囁いた、あの小さな声…。
気づけば私は、店の奥にある小さな着替え室にいた。
鏡の前で、メイド服に袖を通す。胸元はぎゅっと寄せられ、太ももを少し上げれば、見えそうで見えない限界ギリギリ。
黒い不織布のマスクを着け、鏡越しにそっとウインク。
「ふふ、ちょっとサービスしすぎかな…」
スマホを構えて夢中で自撮りをしていた。
数枚の写真を選んでおばちゃんに送ると、私はまた一人、着替え室の中へ。
そのときだった。
──擦れあう肌の音、リザとアリスの息遣い。あの夜の記憶が、まるで耳元で再生されたかのように響く。
「……あ…」
脚の内側に、甘く、とろけるような感覚。蜜が溢れたような錯覚に、思わず息をのむ。
そのとき、外からくぐもった声が聞こえた。
「中のアレ、使ってもいいわよ〜。ちゃんと消毒してあるから」
え……? アレ?
視線を落とすと、壁にある腰の高さのフック。
何気なく触れたその瞬間、ひやりとした感触に、心臓が跳ねた。
長さ。太さ。表面の柔らかな滑らかさ。
……これ、まさか……
「……嘘……でしょ……」
でも、逃げるようにドアを開けたくなったはずの指先は、なぜか動かない。
私はそっと後ろを向き、ゆっくりと腰を落とした。
——今日のメイドは、アリスじゃない。
「私だよ、リザ……見ててね」
心の中で誰かが囁いた。
鏡の中の私は、体の奥を壁の秘密に委ね、
わずかに揺れるたび、秘めた熱が壁に滲み出してゆく……
「紗也香先生、ちょっといい?」
おばちゃんが微笑みながら、奥から差し出したのは、白と黒のクラシカルなメイド服。
「うちの新作なんだけど、もし良かったらモデルになってくれない? 写真だけでいいから」
その瞬間、胸の奥にふわっと浮かんだのは、あの夜のアリスの笑顔だった。
彼女が私のガウンを脱がせながら囁いた、あの小さな声…。
気づけば私は、店の奥にある小さな着替え室にいた。
鏡の前で、メイド服に袖を通す。胸元はぎゅっと寄せられ、太ももを少し上げれば、見えそうで見えない限界ギリギリ。
黒い不織布のマスクを着け、鏡越しにそっとウインク。
「ふふ、ちょっとサービスしすぎかな…」
スマホを構えて夢中で自撮りをしていた。
数枚の写真を選んでおばちゃんに送ると、私はまた一人、着替え室の中へ。
そのときだった。
──擦れあう肌の音、リザとアリスの息遣い。あの夜の記憶が、まるで耳元で再生されたかのように響く。
「……あ…」
脚の内側に、甘く、とろけるような感覚。蜜が溢れたような錯覚に、思わず息をのむ。
そのとき、外からくぐもった声が聞こえた。
「中のアレ、使ってもいいわよ〜。ちゃんと消毒してあるから」
え……? アレ?
視線を落とすと、壁にある腰の高さのフック。
何気なく触れたその瞬間、ひやりとした感触に、心臓が跳ねた。
長さ。太さ。表面の柔らかな滑らかさ。
……これ、まさか……
「……嘘……でしょ……」
でも、逃げるようにドアを開けたくなったはずの指先は、なぜか動かない。
私はそっと後ろを向き、ゆっくりと腰を落とした。
——今日のメイドは、アリスじゃない。
「私だよ、リザ……見ててね」
心の中で誰かが囁いた。
鏡の中の私は、体の奥を壁の秘密に委ね、
わずかに揺れるたび、秘めた熱が壁に滲み出してゆく……

