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午後四時までの性隷
第32章 最悪のタイミング
私はそそくさと下へ降り、夫を出迎えました。

いつもと変わらない会話、いつもと変わらない帰宅後の風景。

昨日までは…。

でも、夫は何も気づいていません。

ホッとする反面、もどかしさを感じたのも事実です。

しばらくして娘が風呂から上がり、食事を終えた夫は娘とテレビを見ています。

微笑ましい、と昨日までは思っていました。

今日で変わった私が、それを遠巻きに見ています。

そして、私が何も知らないと思い込んでいる娘がいます。

仲睦まじい父と娘。

でも、それを見ている私は今日で穢れたのです。

何も知らない夫は、私も娘もその穢れを知らないでいると思い込んでいるに違いないのです。

少し哀れにも思いましたが、誰しもがなにも語らなければ丸く収まるのです。

世間の家庭もきっと同じなのでしょう。

榎木さんご家庭だって、奥様はなにもご存知ないはずですから…。

もしかして夫もなにか秘密を?…と思ったのですが、頭を振りました。

家にいるときはスマホをいじっているのを、ほとんど見たことがありません。

仕事の連絡は電話でしているようですし、お風呂やトイレにこそこそとスマホを持ち込むこともありません。

私と娘。

この家の女二人には同じ血が流れているのだ、と、無邪気な娘を見て感じました。
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