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真昼の幽霊
第4章 デート

「わ~すっごい混んでるねぇ。今日入れるのかな」
「こっち」
「タロー!最後尾あっちだよ!」

 並んでいる人たちの横をズンズンと進むタローを呼び止めるも、入場カウンターに辿り着いた彼は係員にスマホを見せ、さっさとパーク内に入ってしまった。

「朝、チケット発行しておいた」
「凄いね。なんちゃらパスってやつ?」
「そーそー。乗り物もすぐ乗れるよ」
「へー!!」

 「遊園地は初めてだ」と言うわりに手際がいいタローに違和感があったが、凝ったパークの飾りについ目が奪われ思考が子供達の握っている風船のようにふわふわ飛んでいく。

 一際、大きな看板をしげしげと見つめているとタローが繋いでいた手の甲をつついてきた。

「ジェットコースター好きなの?」
「たぶん」

 これまた長蛇の列を横目に列整理をしている係員へスマホをかざすと非常用の扉から搭乗口へとあっという間に道をスキップしていた。
 洞窟のような内装で、わーきゃーと楽しそうな声が響いている。ガタガトとレールを走ってくるゴンドラの音にぼけっと聞き入ってしまう。

「お一人様ですね。相乗りにしますか?」
「いや、ひとりで乗ります」
「足元にお気をつけ下さい」

 係員の声がけとタローの返答にハッとする。自分がいったいなんだったのか、見えない自分の足元に視線を落とした。これが「うらめしい」ってやつなのだろうか。

「ゆーちゃん、借りてきた猫みたいに静かだね。きんちょーしてる?」
「あは、そーかも」
「俺も。ほら」

 繋いだ手を心臓付近に持っていかれ、にこにこしているタローの顔が先を走ってきたゴンドラのライトで浮かび上がって。自分が何だろうと、どうでもいい気がした。
 だれかと楽しい時間が共有できる、それだけで十分すぎるのだ。

 タローの胸元を軽く叩いて手を一度振り解くとゴンドラの座席へぴょんと飛び乗る。

「タロー早く!手」
「わっ危ないよ」

 先に座る真似をしてエスコートするように彼へ手を差し出した。
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