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真昼の幽霊
第4章 デート

 そこから先の記憶がない。

「もー本当はジェット苦手だったんじゃないの?」
「うぅ」
「ずっと目つぶって可愛かったけどさ」

 もはや苦笑いのタローに手を引かれてノロノロとゴンドラから降りるが、意図せず人魂化してしまった。

「あ、疲れたのかな。俺ものど渇いたし、ちょっと待ってて」
「うん」

 ふよふよとベンチ付近の木陰に寄って完全にオフモードになりそうなところで、妙に甲高い笑い声が聞こえて意識がそちらへ集中する。

「さっきの人さ~お一人様ってやつ?ジェットひとりは笑う!」

 つい振り向くと先ほど案内してくれたジェットコースターの係員たちが茂みの向こうにある裏口付近で会話していた。

「うち、確かパスなんてないのにうらやまし~」
「つーか初めて見たわ、あの優待チケット。ここ創設の九条家かも」
「へーあんな年頃の子いた?坊ちゃんもっと小さかった気が」
「あれじゃない。九条家の亡霊とか言うさ~」
「あは!ゴシップの見すぎでしょ」

 確かにパスを使う人など誰もいなかった。むしろ並んでいた人たちにジロジロと見られるほどだ。
 やや感じの悪い係員は気づけばどこかへ行ってしまい、入れ替わりに律儀にもペットボトルを二つ抱えたタローが小走りによってきた。
 先ほどの会話が気になって、ベンチに座った彼の周りを落ち着きなく飛び回ってしまう。

「ねぇねぇ。タローの苗字は何ていうの?」
「え?苗字、か……。一応、九条だけど、どうしたの急に」
「!へー、なんか強そう」
「……俺は……好きじゃない」

 ぺこり、とペットボトルが凹む音がして飛び回るのをやめ、彼の顔をみる。顔を背けたタローの表情は帽子のつばで隠されて見えなかった。
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