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真昼の幽霊
第4章 デート

「……気になってオフになれない」
暗闇の中で聞こえる寝息と時計の秒針が動く音がやけに大きく感じる。タローは相変わらず私を抱きしめて寝ているが、人魂化して抜け出せばいいのだ。
彼のスマホは胸ポケットにしまわれている。それに触れると起こしてしまいそうで少し躊躇う。
ふよふよ床を掃くように代わりのものを探し回るとベッド下にタブレットが落ちていた。解除して人型に戻る。
「これなら検索できるかも」
こっそりタローの右手を握って、落ちているタブレットを手にとる。指紋認証らしいので、人差し指を借りホームボタンに押し付けた。
「わっ……ふーん。タローこう言うのが好きなんだ」
ウェブを開けば、何やらえっちな漫画が開いたままだった。さっさとページを閉じて検索画面を探す。罪悪感と好奇心が揺れている。天秤はやや好奇心に傾いていた。
「九条」と検索すればズラズラとゴシップのような見出しがずらりと並ぶ。
『90歳でも現役だった九条会長、ついに亡くなる!』
『会長直伝、健康の秘訣』
『相続争いは円満に』
『九条家の亡霊』
その中に変な見出しが混じっている。遊園地で聞いたモノだ。残念なことにタップしても該当の記事はすでに削除されていて内容は見れなかった。
しかし、分かったことがある。
一番上の記事。ラックにかけてあるスーツに黒いネクタイ。連れて行きたくない場所って。
「もしかして、お葬式に行くのかな」

