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真昼の幽霊
第1章 真昼の幽霊

「ぅ?…あっ……なに……?」

 帽子男は自室だというアパートの部屋にあがり扉に鍵をかけた途端、帽子を放り投げると玄関で幽霊だという女を後ろから抱きしめた。

「ちょっとハグしただけなのに、あんな顔しないでよ」

 スンスンと鼻を鳴らしながら彼女の髪を鼻先で掻き分け露わになった首筋にかじりつく。

「ひっ!……このっ……ぁ」

 身をよじるもののお腹に回された腕のせいでちっとも抜け出せやしない。
 『生きた人間の方が怖ろしい』とは、まさにこのことだ。
 ――この男、幽霊を自宅に連れ込んでえっちなことをする嗜好でもあるのか!?

「お願い。俺をそっちに連れて行って……ぐす」

 あろうことか男は彼女の後ろでさめざめと泣き出したのだ。もはやお互いにパニックだ。なのにぎゅっとされるのは心地が良くどうにかなりそうだった。
 ――泣きたいのはこっちの方なのに!!
 なんとか腕だけでも男の拘束から逃れ、勢い良く自分の手を叩く。するとラップ音に彼の泣きがピタリとまった。

「その……ちょっと落ち着いて、ね?」

 ゆるゆるとお腹に回された腕を撫ぜてやると男は少しだけ震えて拘束が解かれた。

「生きててもつまらない。でも、君があの坂でイタズラしてるのたまたま見えたんだ。真昼の幽霊なんて怖いよりおかしくてさ」
「……うぅっ」
「驚かしたら喜んで、そのあと寂しそうな顔するから……ねぇ、俺といたら寂しくないよ」
「ぁっ」

 指先をスリスリと撫でる男の手の感覚にじわじわと金縛りのような痺れが広がっていく。なんて甘くて残酷な響きなのだろう。

「……悪いけど私にそんな力ない」
「じゃあしぬ」
「な!?」
「そしたら一緒になれ、っ」

 バチッと鈍く皮膚を叩く音が男の発言を遮った。指先に先ほどとは違う痺れが、感じることの出来ない痛みがそこにあった。

「そんなこと簡単に言う人なんか嫌い!楽しいことたくさんあるくせに!!」

 ――自転車乗るだけでも楽しかったのに、酷いよ
 パタパタと部屋を泳ぎ去ろうとするもすぐに男に捕まってしまう。
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