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真昼の幽霊
第1章 真昼の幽霊

「っ…ごめん。泣かないで、待って!どっかいかないで」
「…うぅっ泣いてない、やっ!」
「じゃあ、君が俺に楽しいこと教えてよ、な?」

 手首を掴まれたまま、ゆるゆると指の腹で手の甲を撫ぜられる。自分が施した慰めをオオム返しのようにされても、心地よさがあるのが憎らしかった。
 さも自然な仕草で目元にあやすようなキスを落とされ、そっとまぶたを閉じた。

 目元、頬、首筋、と男の唇がなぞっていく。慰めのような触れ合いが徐々に熱をあげ、六畳ほどの部屋に女の微かな喘ぎ声と扇風機の断続的なファンの音が混ざり合う。
 男はいたずらに彼女の太ももを掴むと上にむけさせた。コロリ、と柔らかいラグに彼女の体が倒れ込む。

「あっ、あっ。なんでぇ。そこぉないのにぃ、あぁっ」
「ふっ、本当だ、ないね。でも、思い出せるよね?」

 ――れろぉ、っ、れぇっ♡

 ふくらはぎからくるぶしにむかって、男の舌先がまるで足が見えているかのように舐めあげる。たらりと男の唾液が宙に落ちた。とんでもないパントマイムだ。見ていられなくて目をそらす。
 掴まれている太ももがくすぐったいのか本当に足先で感じるのか、得体の知れない感覚に身を沈められていくのが怖い。
 彼は、そんな様子を見つめて酷く楽しそうに笑っている。幽霊だと言うのにありもしない箇所に怯えている自分が変なのだ、と自覚させられきゅっと唇を噛んだ。

「あ、ごめ、可愛いから笑った。そんな顔しないで」

 ――ちゅ♡、ちゅ♡

「ぁっ♡、…ッ♡」

 ショートパンツからのぞく白い太ももの内側がついばむようなキスでゆるく波打つ。それから少し食い込んでいる股へ男の鼻先が押し当てられた。

「……っひ、んっ♡」
「……えっちなにおいがする」
「〜〜〜っ!!!ばかぁ、ぁっ」

 ショートパンツの隙間に体格にしては、ほっそりした男の指が侵入してくる。ついにクロッチのゴムフチまで到達するとぷにぷにと秘丘を指先でつついた。じれったい愛撫にとろりと股の奥が溶けだしている。
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