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真昼の幽霊
第1章 真昼の幽霊

「ふッ……そこは潮じゃないんだ……あーぁ俺もイッちゃったよ……っ」
浮遊する彼女のカラダをそっと男が抱きしめ、おでこをさすり合わせる。
――あぁ、生きている。
――自分もココに存在している。
女の荒い呼吸、男の速い鼓動が聞こえる。お互いに目を閉じて、静かにそれぞれの余韻に浸かっていた。
「……きみ、名前何ていうの……?」
「……っ!おれ、俺の名前は、……タロー。君は?」
「ふーん。私?名前分かんない。幽霊だからゆーちゃんでいいよ」
「あはは!……ゆーちゃん、俺のこと好きになってよ」
「……イヤ。それより、タローはなんで触れるんだろ」
「え~愛のちから?」
「……」
そう言ってゆるく笑いながら自分の指先をいじるタローの手はなぜかとても冷たいような気がした。

