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真昼の幽霊
第2章 とける

――ちゅぴ♡、ちゅる♡
微かに水音が響く。水の中で髪の毛がゆるく引っ張られている感触に意識もつられて浮上した。まるで美容院でシャンプーをしてもらっているようである。
――今、自分がどこにいるのかよく分からない……あれ?
「あ、おひた」
「……!な、何して」
耳元で囁く男を振り返って見れば、なぜか私の髪の毛を一房ほど口に咥えている。慌てて男の顔を引き剥がすと、ぺちゃりと嫌な音を立てて自分の首筋に張り付いた。
「オフの時は人魂になるんだな。丸くて先っちょふよふよしてたの食べたくなる」
「ひっ」
もう口に含んでいた癖に、何が「食べたくなる」だ。あのままオフ状態だったら、どうなっていたのか考えるだけでも怖ろしい。
「あのさ、ゆーちゃん。パンツどうしたの?」
「え?」
お尻を指先でつつかれ、ぴくりとじかに肌が鳴く。下を向くと無防備にさらけ出されている下半身がうつる。周りを見ても脱ぎ捨てたであろう下着も服すらどこにもなかった。
「……タロー……盗んだ?」
「違うって!残念だけど、もう消えてたし」
「……」
「もしかして俺のせいで……魂の形が変わった?」
「っ!」
「そんなの……めちゃくちゃ」
その先の言葉は聞こえなかった。後ろから抱きついている男は鼻息荒く女の首筋にかぶりついている。

