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ぬれて、あふれて、きょうもまた  ~気づかされた悦びに溺れ~
第3章 たまらなく恥ずかしくて
「おはようございます」

 部屋のチャイムを鳴らして訪ねてきた優美は玄関でTシャツと下着姿のままの智之に迎えられて抱きすくめられて抱え上げられた。
 「きゃっ」と小さな声を上げた優美の細い脚先から脱げたハイヒールが、大理石の床の上に小さな乾いた音を立てて落ちた。
 
 そのまま短い廊下とルームドアを抜け部屋まで運ばれてからやっと下ろされた優美は、もう一度抱きしめられて唇をふさがれた。
 舌を絡め合って吸い合う長いキスが続く間にリネンのワンピースの背中でファスナーが下ろされる。
 いやいやをする優美の肩から半袖が片方ずつ抜かれ、そのままワンピースはすとんと足元に落ちた。

「だめ…」
「だめじゃないよ」
「だめ、汗かいたからシャワーさせて」

 真夏の朝、六本木の駅から炎天下を少し歩いた優美の額には汗がわずかに滲んでいた。
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