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ぬれて、あふれて、きょうもまた  ~気づかされた悦びに溺れ~
第2章 思い出してひとりで
 きのう、すぐに立てなくなるほど智之に愛された体が痛い。 

 彼との逢瀬のあと何日かはそんな痛みを覚えるのがいつものこととなった優美は、帰りの電車でつり革につかまってきのうのことを思い起こしていた。

(あ、やだわ…」

 下着に濡れてしまったのを感じて、誰かに気づかれたわけでもないのに思わず目が泳いだ。

 駅前のスーパーに寄って、夕方を過ぎているのでいくらか値引きになっている惣菜の中から好みを選び、カット野菜と一緒に買って帰る一人暮らしももう3年近くになり、すっかり慣れた毎日である。
 駅からゆっくり歩いても10分ほどで小さなマンションには着く。

 灯りを点け、部屋着に着替えて背伸びをしてからリビングのソファに腰を下ろすと、優美のひとりだけの落ち着いた時間が始まるのだった。

 ひとりだから平日はほとんどシャワーだけの日が多い。
 ネットに入れた今日のトップスをタオルやリネンと一緒に洗濯機に入れ、最後にショーツを脱いだ時に滲んだ染みを見つけた。

(パット当てておいたほうがよかったかな…)

 そんなことを優美は思いつつ洗濯機を回すと、明日着ていく服を何にしようかと考えながら浴室の扉を閉めてシャワーの湯栓を開いた。
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