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雨夜の灯(あまよのあかり)ー再会から始まる恋
第7章 「ほんとうの声」

「澪のこと、見てたよ。でも、怖かったんだ。自分が何をしてるか、わかってたのに、止まれなかった」
環の声が揺れた。
澪は目を上げ、初めて、環の濡れた瞳を見つめ返した。
「澪に触れる資格なんて、ほんとはないんだと思ってる。
でも、それでも、澪のことが……」
言葉が途切れた。
代わりに立ち上がった澪が、ゆっくりと環の前に歩み寄る。
そして、ほんのわずかに触れるように、環の頬に手を伸ばした。
「……わたし、まだ全部は許せない。たぶん、ずっと許せないかもしれない。
でもね……あなたに触れられたとき、こわくなかった。
心臓の奥が、あったかくなったの」
言葉を選ぶように、ゆっくりと告げる。
その声は震えていたけれど、確かに“澪の声”だった。
環がその手に自分の手を添えた。
肌と肌が、震えながらも確かに重なる。
外の空が、夕暮れから夜の青へと溶けていく。
ひとつの罪と、ひとつの赦しが、まだ不完全なまま、そっと隣に座った。
環の声が揺れた。
澪は目を上げ、初めて、環の濡れた瞳を見つめ返した。
「澪に触れる資格なんて、ほんとはないんだと思ってる。
でも、それでも、澪のことが……」
言葉が途切れた。
代わりに立ち上がった澪が、ゆっくりと環の前に歩み寄る。
そして、ほんのわずかに触れるように、環の頬に手を伸ばした。
「……わたし、まだ全部は許せない。たぶん、ずっと許せないかもしれない。
でもね……あなたに触れられたとき、こわくなかった。
心臓の奥が、あったかくなったの」
言葉を選ぶように、ゆっくりと告げる。
その声は震えていたけれど、確かに“澪の声”だった。
環がその手に自分の手を添えた。
肌と肌が、震えながらも確かに重なる。
外の空が、夕暮れから夜の青へと溶けていく。
ひとつの罪と、ひとつの赦しが、まだ不完全なまま、そっと隣に座った。

