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第30章 母親との再会

「家族を壊した……ってあの人がよく陽菜に言ってたけどさ、親父までもそう思ってんのか？」

「……」

「俺はそうは思わねぇ。あの人が出て行ってから再生したと思ってる」

「真人……」

「俺は陽菜と愛し合えたこと、後悔してないよ」

「お兄ちゃん……」


　真人お兄ちゃんの言葉は本当に力強い。私を守ろうとする気持ちが伝わってくる。


「ああ、そうだな……真人の言う通りだ。私はまだ過去の過ちに縛られすぎているな……」

「お父さん……」

「すまない、陽菜。けして今の関係を否定しているわけじゃないんだよ」

「うん……」

「またいつか、話せたらと思う。私の想いを……」

「お父さんの想い……？」


　お父さんは切なく微笑した。


　それはどんな想いか気になるけど、たぶん今は話せないんだよね……。


「うん、また聞かせてね」

「ああ」


　お父さんは私の頭を撫でてくれた。



　少しだけ、お父さんの気持ちも真人お兄ちゃんの気持ちも聞けることができた。私が思っていたよりも複雑で、お母さんが複数の人と浮気をしていたという事実はまだ受け止められないけど、でも私たちの関係は変わらないってことはわかって良かった。