この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
母なる果実
第4章 Page.3 果実の動揺 前篇

リビングへ入るや否や、彼はぴたりと足を止めてしまう。心配そうに顔を覗き込むと、依然として虚ろなままだった。
「おーい、起きてるー?」
目の前で手を振っても何も反応が無い。なんとなく目で追っているようにも見えるが、まるでパソコンがフリーズでもしたかのように何も声を発さないのだ。どうしよう…彼のこんな姿は初めてだ。
静かに正面に立ち、労わるように背中に腕を回してぎゅっと抱きしめてみる。スーツから漂うアルコールや煙草の臭いの奥に、いつもの彼の香りがしっかり感じ取れて、女はふうと心を落ち着かせた。
彼はお酒が弱いし煙草も吸わない。それでも服にこんなに臭いがつくということは――そこまで考えて、女は腕にきゅっと力を込め、彼の疲れ切った身体をしばらくの間包み込んでいた。
ふと、腰にふわりと温かい感触が――なんだろうと、ちらとその感触の元に視線を送ると、それは紛れもない彼の手によるものだった。
力こそ入っていないものの、彼女の身体を抱きしめ返そうという意思が確かにそこにあった。女の表情がぱあっと華やぐが、彼の顔は変わらぬまま。
どうしたものかと女は悩むが、やがてある妙案を思いつく。
「おーい、起きてるー?」
目の前で手を振っても何も反応が無い。なんとなく目で追っているようにも見えるが、まるでパソコンがフリーズでもしたかのように何も声を発さないのだ。どうしよう…彼のこんな姿は初めてだ。
静かに正面に立ち、労わるように背中に腕を回してぎゅっと抱きしめてみる。スーツから漂うアルコールや煙草の臭いの奥に、いつもの彼の香りがしっかり感じ取れて、女はふうと心を落ち着かせた。
彼はお酒が弱いし煙草も吸わない。それでも服にこんなに臭いがつくということは――そこまで考えて、女は腕にきゅっと力を込め、彼の疲れ切った身体をしばらくの間包み込んでいた。
ふと、腰にふわりと温かい感触が――なんだろうと、ちらとその感触の元に視線を送ると、それは紛れもない彼の手によるものだった。
力こそ入っていないものの、彼女の身体を抱きしめ返そうという意思が確かにそこにあった。女の表情がぱあっと華やぐが、彼の顔は変わらぬまま。
どうしたものかと女は悩むが、やがてある妙案を思いつく。

