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母なる果実
第5章 Page.4 果実の動揺 後篇
 身体を洗う段になると、どちらが先かで奇妙な押し問答が始まった。私から洗ってあげる、いやいや俺から――互いに全てを晒した姿のまま、滴る水にほんのりと汗が混ざり始めても一歩も譲らない。
 結局じゃんけんで決着がつき、男は得意げにピースサインを掲げ、女は自分の広げた掌を見てがっくりと肩を落とすのだった。
 
 
 
 スポンジの泡を、彼女の鎖骨へとそっと滑らせる。肌がしっとりと水気を含み、女の頬に仄かな朱が滲んだ。
 
 「手、上げて?」
 
 言われるがままに腕を広げると、彼は脇から指先まで丁寧に泡を行き渡らせる。
 指を洗う途中、彼女が不意に指を絡めてきた。まるで遊ぶようにぎゅっと握り、ふふんと笑う。そのやりとりがどこかくすぐったくて、男も思わず笑みを返していた。
 
 両腕まで一通り終え、次はいよいよ胸の豊かな二つの膨らみと対峙する。こうして改めて見るとやっぱり大きい――息を呑み、その丸みに沿って泡を伝わせていく。
 膨らみの下は、その重みの圧がのしかかって手を覆い隠してしまうほどだった。
 そこから谷間まで、手探りで念入りに洗っていく。その度に、それは男の目の前でたゆんと悩ましく揺れていた。
 
「…おっきしてる」
 
 彼女がふと呟く。驚いて視線を落とすと、いつの間にかそれは熱く欲を主張してしまっていたのだった。
 
「あっ…ご、ごめん…なさい…」
 
 慌てて腰を引くが、最早隠しようがない。
 
「安心おっき…?」
 
 女がためらいがちに尋ねる。
 
「これは多分、えっちな、ほう…」
 
 顔を赤らめ、申し訳なさそうに床に目を向けながら答えた。
 
「そっか、えっちなほうかぁ…」
 
 ふふ、と彼女は含みのある笑みを浮かべる。この後に自分が洗われる時にきっと――と、男は察し、心なしか自分のものがさらに熱を帯びるのを感じた。
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