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母なる果実
第5章 Page.4 果実の動揺 後篇
「はい、じゃあ後ろ向いてください」
 
 振り向いた彼女の背を撫で、腰へと泡を滑らせる。さらにその下を洗おうと跪くと、むっちりと張り出した白い膨らみが男の視界いっぱいに飛び込んできた。
 胸の果実に劣らない程の大きさ――重力に負けて少し下を向くそれは、泡に塗れるたびに静かに揺れて、男の下腹をまた刺激させてしまう。
 奥歯を噛み締めながら、悩ましい膨らみをやっと洗い終えると、さらにその奥。腿の隙間へと目を向けた。
 
「ごめん。脚、開いてもらっていい?」
 
 促されて彼女は脚を開く。しかし、心なしか控えめな開き具合。手が入るかな、と少し心配になりながらも、男はその隙間にそっとスポンジを差し入れた。
 
 突然、彼女の身体が小さく震える。反射的に手を止めると、手首にぬるりとした感触が触れた。明らかに水じゃない、これは――。
 
「こらっ!」
 
 顔だけこちらを向き、彼女が制した。その表情は怒っているようで、瞳はどこか潤んで切ないものだった。
 男はその表情で、脚の開き方が控えめな理由を咄嗟に理解した。慌てて手を引っ込める。
 
「ご、ごめん…つい」
 
 叱られたこともだが、それ以上に自分の行動の無遠慮さに反省し、しゅんと俯く。
 
 女は、自分の身体の反応に戸惑っていた。先程彼の熱を目にしてしまってから、そこが疼いてしまっている。それ自体は仕方のないことだと割り切っていたけど、直接触られてこんな反応をしてしまうとは思っても見なかったのだ。
 これまで男性に触れられて快感を覚えたことなどは一度もなかった。拒絶しか知らなかったはずの自分が、今は――彼の指を受け入れていた。
 だからこそ、あのとき思わず声を荒げたのだ。恥ずかしくて、怖くて、それでもどこか嬉しくて。
 
 いつの間にか、彼の存在を身も心も自然に受け入れるようになっていたのかもしれない。肌けた姿をこうして見せることにあまり抵抗がなかったのも、きっとそのせいだったのだろう。
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