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僕の愛する未亡人
第6章 はじめての愛撫
「趣味なら仕方ないんだろうけど…さすがに首は心配する」

佳織は心配そうに冴子の右手を手に取った。腕にも肘から下に指の痕がいくつかついている。
手首に付いているのはおそらく紐か何かの痕だ。

「昨日は、無茶してって頼んだんです。自分の限界教えてもらった感じ。本間さんだから信頼して言いますけど、すごく気持ちよかった」

冴子は左手でビールのグラスを取り、喉に流し込む。冴子はちらりと理央を見やり、微笑む。

「普段なら、見えるところにはつかないようにしてくれるんですけど、向こうも興奮したみたいで」

「……飯塚さんみたいな女性に無茶してって言われたら……男性は興奮するに決まってるじゃない」

佳織は冴子の手を、両手のひらで包み込むように握る。

「首は……お願い。せめて痕がつかないようにして」

「さすがに今日みたいなのはレアケースです。あたしがはしゃぎすぎたんですよ。本当です」

冴子も佳織の手のひらを握り返す。心配そうに眉を潜める佳織が愛おしくなった。

「わかった……」

冴子の右肩に、佳織は額を押し付けるようにした。不意に寄り添った二人の姿に、理央は胸を高鳴らせ、どう視線を置けばいいのか分からずにいた。


*


「え、本間さんと飯塚さんって同じチームだったんだ」

「そ。あたしが配属されたばっかりの時ね。ずっと助けてもらってた」

「またまた……」

三人は帰宅する前に買い込んだ惣菜などをつまみながら、談笑している。

「いえ、本当ですよ。急な異動で不安しかなかったですし。本間さんのチームじゃなかったらやっていけなかったと思います」

「年度途中だったもんね」

佳織がぽつりと言う。

「僕……自分が入社した年だったってことは覚えてたんですけど、年度の途中だったんですか。にしても、本当に店舗の店長感ありますよね。おしゃれだし、厳しいけど、愛があるっていうか」

「あら、褒めても何も出ないけど。ま、昔の話だよ」

冴子はため息をついて、角瓶からウィスキーをグラスに流し込み、ハイボールを作る。グラスに弾ける炭酸の音が、重い空気を空気をほんの少しだけ落ち着かせる。
そこで佳織がその音に紛れるように、切り出した。

「嫌じゃなかったら聞かせてよ。あたしも何で異動になったか知らないの」

「えぇ? 嘘でしょ。問題起こしただけです」
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