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お屋敷メイドの凛
第1章 お屋敷入り

電話をした次の週。
呼ばれてやってきた家は、家なんてものではなかった。
お屋敷と呼んだ方が正しいのだろう。
身長をはるかに上回る古い木の門構えを見上げる。こんなの、漫画の中の、しかもヤクザの家でしかみたことがない。どういう家なんだろうかと足がすくんだ。
震える指先で、勢いよくインターホンを押すと、若い女性の明るい声がした。
・・・よかった、女の人がいる。
しかも、元気そうだったし、危ない目には遭ってないんだろうな。
凛はほっと肩を撫で下ろした。
女性はパタパタと足音を立てて駆けてきた。
「すみません、お待たせしました…」
そう言って息をあげる若い女の人は、ゆりと名乗った。
淡いたんぽぽ色の小袖の着物に、上からメイドが羽織るような白いエプロンを付けて、ゆったりと微笑んでいる。
私と同じ歳かそれくらいなのに、落ち着いた柔らかさを感じさせた。
ゆりさんも、夜のその、そんなことをしてるんだろうか…?不躾なことがちらっと頭に浮かぶ。
この人はそんなわけないじゃない、とすぐに頭を振って忘れるようにした。
百面相する凛を見て、ゆりはクスクスと手を口に当てて笑って、さあ行きましょうと凛を中へ促した。
外観は日本建築のように見えたけど、和洋折衷の洒落た建築物だった。内装は主に和を基調としているが、洋風の部屋もあるみたいで、凛が通された2階のお部屋もそのようであった。
8畳くらいの広さに、ベッドとクローゼット、化粧台が置かれていた。
クローゼットには明日から着るという服が数着掛けられていた。
ゆりに、準備している間にシャワーに入るよう勧められた。
まだ昼間だし、着いてすぐにそんなことを求められることは無いと思うけど、でも、採用条件に書いてあったのも気がかりだし・・・
凛は言い訳をあれこれと考えて、体を念入りに洗った。
男性に触れられたことのない凛は、これから起こる未知の体験にどうやって対処していいのかわからなかった。
初めては好きな誰かとでなければ、というようなこだわりを持っていた訳でもないが、不特定多数の誰かと触れ合いたい訳でもない。だからこそ、屋敷のメイドとしてお給料をいただきながら、一人の相手だけをしていればよいこの求人に惹かれたのだ。
指先が触れた柔らかい肌は、少しだけ熱を帯びていた。
呼ばれてやってきた家は、家なんてものではなかった。
お屋敷と呼んだ方が正しいのだろう。
身長をはるかに上回る古い木の門構えを見上げる。こんなの、漫画の中の、しかもヤクザの家でしかみたことがない。どういう家なんだろうかと足がすくんだ。
震える指先で、勢いよくインターホンを押すと、若い女性の明るい声がした。
・・・よかった、女の人がいる。
しかも、元気そうだったし、危ない目には遭ってないんだろうな。
凛はほっと肩を撫で下ろした。
女性はパタパタと足音を立てて駆けてきた。
「すみません、お待たせしました…」
そう言って息をあげる若い女の人は、ゆりと名乗った。
淡いたんぽぽ色の小袖の着物に、上からメイドが羽織るような白いエプロンを付けて、ゆったりと微笑んでいる。
私と同じ歳かそれくらいなのに、落ち着いた柔らかさを感じさせた。
ゆりさんも、夜のその、そんなことをしてるんだろうか…?不躾なことがちらっと頭に浮かぶ。
この人はそんなわけないじゃない、とすぐに頭を振って忘れるようにした。
百面相する凛を見て、ゆりはクスクスと手を口に当てて笑って、さあ行きましょうと凛を中へ促した。
外観は日本建築のように見えたけど、和洋折衷の洒落た建築物だった。内装は主に和を基調としているが、洋風の部屋もあるみたいで、凛が通された2階のお部屋もそのようであった。
8畳くらいの広さに、ベッドとクローゼット、化粧台が置かれていた。
クローゼットには明日から着るという服が数着掛けられていた。
ゆりに、準備している間にシャワーに入るよう勧められた。
まだ昼間だし、着いてすぐにそんなことを求められることは無いと思うけど、でも、採用条件に書いてあったのも気がかりだし・・・
凛は言い訳をあれこれと考えて、体を念入りに洗った。
男性に触れられたことのない凛は、これから起こる未知の体験にどうやって対処していいのかわからなかった。
初めては好きな誰かとでなければ、というようなこだわりを持っていた訳でもないが、不特定多数の誰かと触れ合いたい訳でもない。だからこそ、屋敷のメイドとしてお給料をいただきながら、一人の相手だけをしていればよいこの求人に惹かれたのだ。
指先が触れた柔らかい肌は、少しだけ熱を帯びていた。

