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ご主人様の愛はこの身に注がれる
第2章 蜜月夜の始まり


ご主人様の手が、自分の隣の革張りのソファを撫でた。


「ここに座って」
「承知いたしました」


迷ったものの、これはご主人様からの命令でもある。
私は「失礼します」と、ご主人様の隣に腰掛けてロング丈のメイド服のスカートをはらった。


「膝かりるよ」
「はい」


ご主人様の頭が私の太ももの上に乗せられて、微かな重みを感じた。フリル付きのエプロンには少し眺めのご主人様の藍色の髪が散らばり、すっと閉じられたグレーの瞳。瞼には長いまつ毛···。社交界で一度は見たことがありますが、本当によく整っ他顔立ちで···、いけません、はしたないですわ。


殿方をジロジロと見てしまうなどと···。
けれども、私はこれからどうしたら?ご主人様に太ももを預けているので、身動きが出来ないのですが、先程から胸の高鳴りが止みません。


「落ち着かないかい?」
「いえ、その···」
「婚約者とも、膝枕はした事無かったのかな?」
「はい。婚約してすぐに、没落してしまいましたから」
「ごめんね。無神経な事を聞いてしまった」
「いえ。大丈夫です。今はご主人様のメイドですから」


「ねぇ」とご主人様は起き上がり、私の顔をじっと見つめた後で頬に手を当てられた。


「じゃあ、まだ身綺麗なままなんだね···」
「っ!?」


耳元で囁かれて、背中が栗だった。
私はビクリと肩を震わせて、無意識に距離を取ろうとするとそのままソファへと押し倒されてしまったのです。

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