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あなたに抱かれたい
第5章 父が連れてきた女
「おいおい、そろそろ家の中に入りたいんだけどね」
茉優が玄関に立ち塞がって、ボーッと久美子を眺めていたが、父の声にハッと割れに帰ると「あ、ごめんなさい!どうぞ…」と父のスリッパと来客用のスリッパを用意して二人にダイニングに来てもらうように促した。
「良くできた娘さんだわ」
久美子は拓哉と並んでダイニングテーブルに着席すると、拓哉に小声で茉優の事を誉めた。
「イイ子ぶってるだけだよ
いつもはこちらの言うことにとにかく何でも文句ばかり言う子でね」
「全然そんな風には見えないわ」
これが久美子が感じた拓哉の息子と娘の第一印象であった。
「そうよ、これが本当の私なんだから」
久美子の発言に乗るかのように茉優は鼻息荒く胸を張った。
いつの間にか茉優と正弥が二人の背後に立っていた。
コーヒーカップをトレーに乗せて、久美子が感じた第一印象を崩さないように、おしとやかな女の子を演じて「どうぞ」とコーヒーカップをテーブルの上に置いた。
「良かったらお菓子もどうぞ」
正弥もまた、イイコぶってお菓子が山盛りになったトレーをテーブルに置いた。
「イイコぶるのはその辺にして、二人とも着席しなさい」
父親の拓哉に命じられて、茉優と正弥の姉弟は拓哉と久美子が並んで座るテーブルの向かい側に腰を降ろした。
正弥は、うっとりとして久美子の顔を眺めていた。
似ても似つかないのに、久美子に亡くなった母の晴海の面影を感じて久美子に対して好感を持てた。
それとは逆に、茉優は久美子を疑心暗鬼の眼差しで見つめた。
こうして姉弟に久美子を紹介するということは、彼女が父の拓哉にとって大切な女性なのだろうと思った。
だが、どこをどのようにひっくり返しても父の拓哉とは不釣り合いのような気がした。
確かに久美子は若くて美人だけれど、父の年齢に対して若すぎると思う。
交際しているのか知らないけれど、久美子は父の彼女というよりは茉優のお姉さんと呼んでも何ら不思議ではないほど、父の拓哉と年齢差がありすぎた。
「あらためて紹介しよう。彼女は五十嵐久美子さんと言って、父さんの会社の部下だ」
「五十嵐久美子です。どうぞよろしくね」
部下?えっ?じゃあ何?父さんはこんな若い部下に手を出したってこと?
何だか不純な匂いがして、茉優は憂鬱そうな顔をした。

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