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あなたに抱かれたい
第1章 新入社員

「ほら、ホテルに着いたよ
頼むからしっかりしてくれよ」

彼女がここまでお酒に弱いとは思いもしなかった。
新歓でも先輩の社員たちに酒を勧められても酔いつぶれる姿など見せなかったのに…
もしかして初めての出張で、自分は気づかなかったが、彼女なりに緊張して心が張り詰めていたのかもしれないなと思った。

そこにお酒を呑んでしまったことで、一気に緊張がほぐれて酔いが回ったのかもしれないなと、拓哉は配慮不足だった事を申し訳なく思った。

「ほら、部屋に着いたよ
鍵は?鍵はどこだ?」

申し訳ないなと思いながらも
拓哉は彼女の上着のポケットをまさぐった。

ない…

では、内ポケットか?

「ごめんよ、少しばかり体に触れるけれど…」

酔いつぶれている相手に、拓哉は几帳面に断りを入れた。

ジャケットの内ポケットを探っていると、久美子が「うう~ん」と眠そうな声をあげて拓哉にしがみつく。
そのせいで拓哉の手には彼女の豊満な胸の膨らみがしっかりと伝わった。

「す、すまん!決してわざとじゃ…」

拓哉は情けなくもドキドキしていた。
こりゃレディスーツのパンツのポケットに手をいれることは無理だなと思った。
ズボンのポケットに手を突っ込めば、いやでも彼女の鼠径部に触れてしまうし、尻ポケットだと、なおさら彼女のヒップを触ってしまうことになる。

もしかしてバッグに仕舞い込んだ?
いくら部屋のキーを探すのが目的だとしても
女性のバッグをゴソゴソ掻き回すわけにも行かない。

時間を費やしているうちに
彼女の体から力が抜けて、しっかりと抱きかかえていないと崩れ落ちそうになる。

『仕方ない…俺の部屋に連れていくか…』

彼女が目を覚まして、拓哉のベッドに横たわっていれば、いらぬ誤解を受けかねない。
ここは彼女をベッドに寝かしつけて、自分はホテルのロビーで一夜を明かさないといけないなと覚悟を決めた。

「ほら、ベッドで横になってぐっすりと眠りなさい」

久美子をベッドに寝かせて、自分は部屋を抜け出そうとした。、

「行かないで…」

久美子の手がしっかりと拓哉の腕を掴んで離さない。

行かないで

彼女は確かにそう言った。
もしかしたら彼氏とベッドインしている夢でも見ているのか?

「ごめんよ、彼氏じゃなくて」

そう言って拓哉は久美子の手を引き剥がそうとした。
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