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混浴露天風呂・痴漢ワニに囲まれて
第6章 夕食
4人の息子と、夫、舅、姑と一緒に食事をするために買った8人掛けの大きなダイニングテーブル。

そこで、ある頃までは、揃って食事をしていた。舅が健在なころは、舅が孫である息子たちを呼びに行き、不承不承、息子たちもタイムラグはあっても自室から出てきて、食事をしていた。

と言っても、その頃は、息子たちも小中学生だった。7年前、舅が倒れて、亡くなると、夫は不在。姑が呼びに行っても、

「あとで」

「もう少ししたら」

と、言い訳していたが、姑が弱ってきて、5年前、認知症がわかり、施設に入ると、茉莉子がいくら声を掛けても、

「うるさい」

などと返され、まるで兄弟で計画したかのように、進学のたびに家を出て行った。茉莉子の職場は介護関係。自宅訪問もある。午後一時に訪問などすると、家族が揃って食事の途中ということもあった。介護施設から送迎の車で高齢者を送り届けると、自宅で、家族が夕飯の用意をして待っているという光景も目にした。

なぜか、それが自分の家ではできなかった。

「別に手伝ってくれなくてもいいから、遊びに来て、こんな風に一緒に」

茉莉子は言った。実の親子でなくても、誰かと一緒に食事をしたかった。あの8人掛けのダイニングテーブルで、一人で食べるのはそれくらいツラかった。

「絶対行くよ」

壮介が言うと、

「俺も。行くよ。っていうか、行きます」

と、征人が続き、

「楽しみ」

と、将星が笑った。そこからしばらく、何が食べたい?と茉莉子が訊くと、3人が答えるという感じの話が続いた。茉莉子には幸せだった。実の息子たちとできなかった会話。

「何が食べたい?」

なんて、訊いても息子たちは、

「なんでもいい」

「手早く食べられるもの」

と、最初の内は答えていたが、

「うるさいな。何でもいいって」

「タイパの良いモノって言ってるじゃん」

と、つっけんどんな回答ばかりになって、そのうち、茉莉子も訊かなくなった。それが、その話題で盛り上がる息子と同世代の男子大学生と一緒にいる茉莉子。

「疑似親子でもいい。たまに、一緒に食事をするのもいいな」

って、思った茉莉子。
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