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助教 沙霧
第11章 告白
 朝の空気に晒される自分の顔が、まるで皮を剥がれたかのように無防備に感じられる。

 帰宅し、部屋に入るなり、沙霧は玄関に崩れ落ちた。
 鏡を見る勇気はなかった。今の自分は、きっと、情欲の残り香と敗北の屈辱に塗れた、見るに堪えない姿をしているに違いない。
 だが、その絶望の底で、彼女の心臓は、かつてないほどの歓喜に打ち震えていた。
 
 告白しなさい

 その命に、沙霧は抗うことができなかった。
 バッグからスマートフォンを取り出し、震える指を動かす。それは、ブログのコメント欄ではなく、彼との直接的な対話の窓だった。

『……私は、瀬川沙霧です。
 和歌を研究し、古人の心を解き明かそうとしてきた、愚かな女です。
 私は、自分が何よりも高潔で、理性的であると信じて疑いませんでした。
 でも、それは嘘でした。
 私は、誰かに支配されることを、誰かに私のすべてを暴かれることを、心のどこかで、……切実に欲していました』

 一文字綴るたびに、彼女の目から熱い涙が溢れ出した。
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