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御朱印女と怪談男〜にさつめっ☆〜
第16章 むっつり女と純情男(後編)
私は基本、色付きのリップを常用してて、リップスティックはめったに使わない。ましてや、リップグロスやリッププランパーなどは買ったことすらないのだが・・・。

『ふっくら唇に♪』

いつもの色つきリップを買おうとして、ふと目に入った宣伝文句につい惹かれてしまう。ぷるんとした唇が強調されたパッケージ・・・。

うう・・・ん、素直さん、こういう方が好き・・・かな?

しばし悩む。悩んで結局、私は初めてリッププランパーというのを購入してしまった。下地にも、仕上げにも使えるけれども、そのまま色つきリップみたいにも使える、というのが決め手だった。

頭では、そんなに変わるわけないと思いながらも、ちょっとドキドキする。
唇ぷるんてしたら、もっとキスが楽しくなる・・・かな?

私がリップを購入したときには、すでに彼も自分が買いたかったものを買い終わったみたい。ショルダーバッグに紙袋をぎゅうぎゅうと詰め込んでいるところだった。

「お待たせ」
「あ、うん・・・じゃあ、行こうか」

声を掛けると、ちょっとビクッとしたような感じだったけど、すぐに元の彼に戻っていた。

お買い物を終え、じゃあ帰ろうとなる。

外に出ると、すでに真っ暗だった。おしゃべりをしていた時間が長かったせいか、ほんの近所を巡っただけだったのに、いつの間にか時刻は午後6時を回っていたのだ。藍に染まった空の下、白銀の街灯がぽつぽつと灯り始めていた。

お買い物をしたものを彼が右手に持ってくれていたので、私は彼の左手と手を繋ぐ。スーパーから彼が住んでいるマンションまで、ほんの10分ほどの帰り道。気温は暑くもなく、寒くもなかった。

手をつないで、同じところに帰る。
本当に、ただ、これだけのことだ。

でもなんでだろうな。涙が出そうなほど、嬉しく感じる。

だから私は思わずキュッとつないだ手に力を込めてしまう。

「ゆらさん?」

なにか用事があって、私がそうしたのだと思ったのかもしれない。素直さんがこちらに顔を向けた。

「あ、うううん・・・なんでもないの」
「ん、そうか・・・なんだ、俺はてっきり、あれを見たのかと」

あれ・・・って?

彼の視線が見上げる方に目をやった。
そこにはきれいな宵の明星が輝いていた。
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