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甘い飴と甘い鞭
第3章 SWEETEST DREAM
何人、何度そんなことを繰り返しただろう。
気づけば半年が経っていた。
このところ、ジェイは休みの日も出掛けがちで家での会話も減っていた。
おれはったら、別にいつも慰安に耽ってるわけじゃなかった。
もちろん、相手が決まらないからってこともあったけど。

「最近、なんか忙しそうじゃん」

何気なく声を掛けたのが間違いだった。
一瞬でジェイの口角が持ち上がる。
ほんの数秒前まで気難しそうな顔で考え事をしていたくせに、いつものようにおれを揶揄するような表情に変わった。

「何、やっと俺に興味出てきた?」
「そんな軽口叩けるなら、大丈夫そうだな」
「どっちが。……ったくお前って奴は」

結局、忙しい理由をジェイは話さなかった。
だけど、水を得た魚ってああいうのを言うのかな、何だかその日は上機嫌で出掛けたように見えた。
おまけのように夜遅くなる、と告げて。
もしかして、固定の女でもできたのかな。
そんなことが頭を過って、はっと現実に戻される。
何考えてるんだおれ。思うつぼじゃねーか。
何だか少し癪だな、と思いながらおれはおれで掲示板で相手を募る。
そう、おれはおれで大丈夫なんだ。
そう言い聞かせた。



その晩出会った男は、当たりだった。
会社帰りなのか皴一つないスーツに、硬派ながら銀縁の眼鏡の向こうの瞳が少し冷徹さを帯びた三十路すぎの男。

「はじめまして、おれはシオン」
「…………ラズと呼んでくれ」

その声色に、おれの胸がぎゅっと軋んだ、気がした。
その男、ラズはホテルの一室に入るまで一言も発さなかった。
そういうところもいい。
これほど好みの男に出会ったことは初めてだった。
おれは上機嫌で男と部屋に入った。
開口一番おれは言った。

「なあ、おれを縛ってよ」
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