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甘い飴と甘い鞭
第4章 SWEET&BITTER
翌朝のおれの不機嫌は予定調和だ。
ジェイが素知らぬ顔でいてくれたのが、本当はすごく助かった。
おれの鼓動は朝までどきどき高鳴ったままで、朝まで寝付けやしなかった。
ジェイのやり方は許されたものじゃないはずなのに、惹かれ出すおれの心を、おれは認めたくなくて。認められなくて。

「それじゃ、行ってくる。……慰安は程々にな」
「……言ってろ」
「俺のことを少しは思い出せよ」

間際になってジェイはそう言って、おれの唇を一瞬だけ奪っていく。
おれはジェイの胸を押し返して、唇を拭って見せるので精一杯だった。



ラズと会えるその日なのに、おれはジェイとの夜に引っ張られながら出掛けることになってしまった。
深呼吸をして、家を出る。
無理矢理ジェイのことを頭から放り出す。
おれの中にはひとつの仮定が出来上がっていたのを思い出す。
ラズが、あの人なのではということ。
そんな非現実的な仮定が、本当だったらいいのに、と思う。
だけど、あの声色の響きを体が間違えるなんて思えなくて。
ラズはホテルのそばの自販機のそばで、煙草をふかして待っていた。

「10分の遅刻だ。……仕置が必要か?」
「ごめん……、おれはラズにそうして欲しい」
「それじゃあ仕置にならんだろう」

クッ、と小さく唇の端を上げてラズが笑う。
どうしてなんだろう、この人の前でおれは従順で居たい、と感じていた。
お仕置きがもらえるのなら、何だってしたいぐらいに。
だけど、目の前のこの人はそんなおれを見抜いたように、おれに鞭をくれはしない。
今日のおれは、ラズに跨って腰を振る。
跳ね馬のように、リズミカルに刻めば、冷めた瞳がレンズの向こうで少し緩むのが見える。
今日は、目隠しを許されなかった。
それが仕置だ、と彼は言う。

「……いつもこんな遊びを?」
「夜は一人が寂しいから」
「飼い主が放任主義なのか」
「……そうだけど、そうじゃない」
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