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甘い飴と甘い鞭
第6章 GOOD BOY
今日は、ラズより先に着いたみたいだった。
と言っても、約束の時間の15分前で。
ややもしないうちにラズらしき男の姿が見えた。
週末でも、彼はスーツを着込んでいる。

「ラズ。……ひさしぶり」

声を掛けると、唇だけで微笑っておれの頭を優しく撫でた。
すぐにホテルの入り口を潜って、チェックインを済ませる。
今日も無駄口は無し、ホテルのソファに腰掛けたラズは一本だけと煙草に火を点けた。

「……ラズ。あなたはプルオットの」
「潮時だな。今日が最後だ、シオン」
「……いやだ」

おれが沈黙に耐えかねて言葉を発した瞬間、ラズは煙草をもみ消してそう告げる。冷たい声だった。
頭を振るおれを抱き寄せて、首筋に口付けを降らせる。

「最後ならなんでそんな優しくすんの」
「最後だからだ」
「……わかんない」

ラズの手がゆっくりとおれを脱がしていく。
おれも、ラズの首からネクタイをゆっくりと抜き取ってシャツのボタンに手を掛けた。
最後なら、……最後ならもう目隠しは要らない。
おれは、ネクタイをソファの下にしゅるりと滑らせる。

「あなたのせいで、おれはおかしくなってしまった」

能動的に唇を食みながら、おれは小さな声で呟いた。
ラズは薄く微笑ったように見える。ゆっくりとした所作で眼鏡をはずしてコーヒーテーブルに置いたら、答えのように深い、深い口付けをくれる。
タールの風味の、甘く苦い口付け。
唾液をゆっくりと飲み込んで、おれはラズの前に傅いた。

「おれに鞭をください、……ラズ」
「……シオン」

困ったような声色。
気に留めずにおれはラズの性器を両手にとってゆっくりと蜜口に口付けた。
ラズの優しい右手が髪を梳いて耳を擽る。
手の中で膨らんで行く熱を、口いっぱいに頬張って、啜り上げると頭上で荒い息が零れる。
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