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甘い飴と甘い鞭
第10章 夢と現のその先に
おれは、自己嫌悪に駆られていた。
結局あの後おれは抵抗なんてまるでしないでジェイに素直に抱かれたんだ。
あの時のジェイならきっと、抵抗できたはずなのにだ。
あの後、ジェイは風呂場に向かうおれを追わずに部屋着に着替えて呑気にメシを食ってた。
おれはまたそれを横目にベッドに逃げ込んだんだ。
そして今こうして、馬鹿げた後悔をしてる。
おれに必要なのは愛、だって?
4年前、おれは孤児院にいたんだ。
両親なんて覚えてないし、もちろん恋なんてものも知らない。
おれがあの人に抱いていたそれだって、恋とは違うのはわかってる。
おれの人生に愛はないし、要らないんだと思ってる。
……だからこんなに気持ちがふれぶれしておかしいんだろう。
アイマスクの暗闇の下でおれが願うのはいつも痛みと快楽、それだけだったのに。
は、と小さく息を吐き出す。
こんなことが続いたら、おれは本当におかしくなりそうだ。



「お前、このまま何も聞かないつもり?」

それは隣のベッドに入ったジェイの空言のような呟きだった。
おれは、少しだけ考えてからシーツを体に巻き付けながら答えた。

「何を」
「……起きてたんだな。全部だよ。プルオットのことも、タレコミの話も」

おれは背中に投げ掛けられる声を聴きながら、息を吐いた。
聞きたい、聞きたくない。
そのまま寝落ちたふりをしてしまえばよかったけれど。

「ラズには……あの人には会ってないんだろ。だったら、あと考えられるのはおれの客だった覚えもしない誰かでしかない」
「……会ってはないよ。話はしたけどな」
「いつ?」
「ここ数か月。ずっと遅かったのはウェブ上でチャットしてたからだよ、プルオットのことを調べていたら出会った」
「…………」
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