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デーンハイト家の戯れ
第1章 はじまりの宴
ウェインには今夜成し遂げるべき悲願があった。
それは、ここ十年ずっと温め続けてきたものだ。
メイドの中で唯一、姉のように振る舞うことを許し傍に置いた女・ルーシァ。
彼女をどうにかして自分のものにしたい。
それが、ウェインのこのところの唯一の関心だった。



食卓へ並んだ豪勢な料理を前に、ウェインは祝杯を掲げ、メイドたちにも酒を振る舞う。
もちろん、ルーシァにも。
ルーシァは、困惑した面持ちで申し訳なさそうにしながらも微笑み、同じ同僚であるメイドからグラスを受け取り、ワインを口にしていた。

「ルーシァ。渡したいものがある。この後の仕事はほかのものに任せて俺の東屋に来てくれ」
「ですが……」
「いいから来いと言っている。祝いの席で恥を掻かせるな」
「……はい」

まったくこの女は、鈍感でいけない。ウェインは溜息を零したが、ルーシァはぼう、と料理を眺めているだけだった。
ウェインはその手からグラスを奪い、中身を飲み干すと、彼女の手を取りそのまま庭に出て東屋へずかずかと歩き出した。

「待って、待ってください。……もう少しゆっくり」
「待てるものか。俺は十年も待ったんだ」

興奮のあまり声を上げたウェインだったが、その早い足取りに転びそうになっているルーシァにようやく気づくと、歩調を緩める。

「十年、ですか?」
「そうだ、十年だ。俺が成人したときは、まだ屋敷を持てるほどの力はなかったから、こうしてようやく……」

東屋のソファにルーシァを座らせたウェインは、そのテーブルに置かれた小箱を彼女の膝の上に置いた。

「俺からのプレゼントだ。……開けてみろ」

ルーシァがゆっくりと小箱を開くと、そこには翡翠色をした香水瓶が入っている。
彼女は金装飾の施されたそれが高額なものであるとすぐに悟り、困惑の色を示した。

「ウェイン様、このようなものわたくしがいただくわけには……」
「ルーシァ、今ここには俺とお前しかいないんだから昔のように読んでも構わないんだぜ」
「……旦那様のお許しもなしにそれは……」
「ああ、じれったいな。俺がいいと言っているんだ、親父の名前をそこで出すなよ」
「……ウェイン」

少しの間を置いて、躊躇いがちにルーシァが名前を呼ぶと、ウェインは満足そうに、ただそれだけでは満足しないと言ったように唇の端だけを上げて見せた。
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