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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第33章 初めての二人の特別な父の日~秘密を打ち明けて~①
その後、二人は近くのイタリアンレストランでランチを食べた。

貴はカルボナーラ、健治は和風きのこパスタを注文した。
フォークを回しながら、貴が自然に話し始めた。

「大学の野球部、上下関係は少し厳しいけど、先輩方は面倒見がいいよ。
練習はキツイけど、やりがいがある。商学部の勉強も難しいけど、面白い講義が多くて楽しい」

健治は頷きながら聞いていた。
貴は少し間を置いてから、父親の顔をまっすぐに見た。

「お父さん、なんか最近変わったことあった?
前より……表情が柔らかくなった気がするんだけど試合見てる時も、
ちょっと笑顔が増えたみたいで」

健治はフォークを止めた。一瞬、彩香の笑顔が脳裏に浮かんだ。
口ひげの下で唇がわずかに緩む。

「……ああ、少しな」

貴は興味深そうに目を細めた。

「へえ、何かいいことあったの?」

健治はコーヒーに口をつけ、穏やかな声で答えた。

「まあ……いい出会いがあった、と言えばいいか。
まだお前に話す段階じゃないが……大事にしたいと思っている人ができた」

貴は少し驚いた顔をしたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。

「そうなんだ。お父さん、久しぶりにそういう話だね。
その人、いい人なんだろう?」

「ああ……とても純粋で、真面目で……俺にはもったいないくらいだ」

健治は照れくさそうに低く笑った。
貴は父親のそんな表情を見て、嬉しそうに頷いた。

二人はそのまま、穏やかな父子の会話を続けながら食事を終えた。


18時を少し回った頃。
健治は息子の貴とイタリアンレストランでの食事を終え、
再び公園で軽くキャッチボールを済ませた後、貴を最寄り駅まで送り届けたところだった。

貴の後ろ姿が見えなくなった瞬間、健治はスマホを取り出し、彩香に短いメッセージを送った。


健治 18:05 
今、貴との時間を終えた。
もうすぐ彩香のところに向かう。
楽しみにしてるぞ。


送信してすぐ、健治は車に乗り込み、彩香のマンションがある方向へハンドルを切った。

口ひげの端を軽く指で撫でながら、47歳の渋い顔に自然と柔らかい笑みが浮かぶ。

(……初めて彩香の家に行く。どんな部屋なんだろうな。)
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