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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第37章 父の日の余韻と、意地悪な愛~二人の甘い月曜日~ 午前編
月曜日 午前中 11時10分 企画部 13階

午前中、彩香は比較的順調に仕事をこなしていた。

資料の修正、来週提出分の進捗表の更新、取引先へのメール対応……
指はキーボードを叩き続けていたが、心はどこかふわふわと浮ついていた。

ふと、キーボードに置いた手が止まる。

(……昨日の父の日の夜のこと……)

健治さんにアニメ棚のシートが剥がれて、ヲタク全開の棚を全部見られてしまった瞬間。
そしてお風呂で、自分からお願いしてしまった——『お父さん……』

彩香の顔が一瞬で真っ赤に染まった。
耳の先まで熱くなり、首筋まで火照ってくるのが自分でもわかった。

(やだ……やだやだ……! なんで今思い出しちゃうの……!
しかもあんな……親子プレイみたいなこと、お願いしちゃったなんて……)

両手で頰を押さえ、俯いたまま小さく身をよじる。
目の前のモニターの文字が全く頭に入ってこなくなった。

(健治さん……私のこと、変な子だと思わなかったかな……
でも、すごく優しく抱きしめてくれて……)


そこまで考えた瞬間——ブルルルルル……社用携帯が振動し、着信音が鳴った。


画面に表示された名前を見て、彩香の心臓が跳ね上がる。


大内 健治(企画部課長)


「ひゃっ……!?」

タイミングが良すぎて悪すぎる。
彩香は慌てて周囲を見回し、小田さんがこちらを見ていないことを確認すると、
携帯を握ったまま席を立った。

立ったはいいが、すぐに座り直し、また立ってうろつく。
顔は耳まで真っ赤で、明らかに動揺しているのが自分でもわかる。

「ど、どうしよう……声、震えないかな……」

結局、社用携帯を胸に抱えるようにして、企画部のフロアを出た。
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