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影を背負った愛~足りない愛を、君に
第38章 父の日の余韻と、意地悪な愛~二人の甘い月曜日~ 昼編
同日 12時25分 休憩室

LINEのやり取りから10分以上経ち、彩香はようやく意を決して弁当の蓋を再び開けた。

「……いただきます」

小さく呟き、最初にオムライスを一口運ぶ。瞬間、彩香の目が丸くなった。

「……おいしい……」ふわふわの卵に、ほどよい酸味と甘さのケチャップライス。
具材のバランスも絶妙で、彩香の好みをしっかり覚えていてくれたことが伝わってくる。

二口、三口と食べるうちに、頰が自然と緩み、目がとろーんとした。

「ん……すごく、おいしい……」

ほっぺたが落ちるくらい嬉しくて、思わず小さく声が漏れた。

周りに人がいないのを確認してから、彩香はオムライスを大切に頰張りながら、
健治さんのことを思い浮かべた。

(……今朝、早起きして私のために作ってくれたんだ……
エプロン姿で、大きな背中で一生懸命……)

想像しただけで胸がきゅんとして、顔がまた赤くなる。

彩香はスマホを取り出し、恥ずかしそうにしながらも素直にメッセージを送った。

12:28 彩香
【尻尾を振って大喜びしている可愛い犬のキャラクターのスタンプ】

12:28 彩香
とってもおいしいです…♡
ありがとうございます、健治さん。(´,,•ω•,,`)

30秒ほどして、健治さんから返信が来た。

12:29 健治さん
よかった。ちゃんと食べてくれて嬉しいよ。
ハートはちゃんと見てくれた?
午後の会議でお前の反応が見たいな。
……顔、赤いまま参加するんだろう?

彩香は再び顔を真っ赤にし、スマホを胸に押し当てた。

(もう……本当に意地悪……!)

嬉しさと恥ずかしさが爆発して言葉が出てこない。

結局、彩香は返事の代わりに、
恥ずかしくうなずくワンちゃんスタンプだけを連打して送った。

12:30 彩香
【恥ずかしくうなずくワンちゃんスタンプ × 3】

その後、彩香はテーブルに顔をうつ伏せ、両手で頭を抱えた。

「……こんなんで、13時30分からの会議、無事に参加できるのかしら……
無事に終わるのかしら……」

頰はまだ熱く、耳まで赤いままで、彩香は小さく身をよじった。

幸せすぎて、恥ずかしすぎて、午後の会議が今から気が重い……のに、
少しだけ楽しみでもある自分がいる。

休憩室の隅で、彩香は健治さんの作った弁当を大切に味わいながら、
甘いため息を繰り返していた。
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