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パステルカラー・オレンジ
第2章 塾の人
当時、千尋は塾のレベルに全然ついていけない焦りと悔しさでよく泣いていた。
千尋達が通う塾は、出された課題が100点で合格できないと帰らせてもらえないところだった。
時間も22時以降は生徒を帰らせるのだが、いつも最後まで残っていたのだ。

見兼ねた講師が、首席の大崎に声をかけたのは千尋が泣いてばかりいた三日目のことだった。

レ「あの、良かったら僕のわかる範囲で教えましょうか?・・・なんて、上からものを言ってるみたいですみません。先生から、秋山さんにつくように言われたんです。秋山さん、いつも泣いていて辛そうだし・・・僕で良ければですけど、あっ、いきなりすぎましたね。失礼なこといってすみません・・・・・。」

千尋は、大崎の袖をひくと首を横にふり、お願いしますと小さく言った。
藁をもすがる思いだった。


それからは、大崎のわかりやすい教えかたとアドレスを交換して、塾以外でも図書館で待ち合わせ、勉強をする仲になっていた。




ーーーーーー・・・


ち「私ね、あの時から大崎君に教わったり、一緒に勉強したりするの、すっごく楽しくなったの!成績もグーンと良くなって、学校の先生も誉めてくれたりして、これなら志望校受かるかもしれないなって言われてね!・・・あっ・・・・。」


目を細めて嬉しそうに笑う千尋が、大崎のほうを見たとき、大崎が自分の方を見ているのに気がついた。


ち「あのなんか・・・自分の話しばっかりでごめんなさい。」

千尋は肩をすくめてションボリする。
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