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パステルカラー・オレンジ
第5章 先輩
入学式の翌日は、土日だった。



『頼んでもないのに』

『迷惑です』

『かまわないでください』

『ごめんなさい』




頭の中で、言葉が焼き付いて離れてくれない。
リアルに耳元で再現される。



彼女の声を聞くたびに、怒った顔を見るたびに、思い出してしまうに違いない。

受験日からの数ヶ月。

自分がなにか千尋を傷つけてしまったのだろうか。


確か、あの日の別れ際は笑顔だったはず。

それなら、メールの内容が?
もしかして、図書館にくるまでに何かあったのか?

いや、あの後にした安否のメールにも返事はなかった。


悶々と考えては、ため息しか出てこない。

頭の中に1つ、考えられる理由はあるが中々認めたくなかった。



もしかしたら



秋山千尋に、好きな人ができたのでは?








この答えもまた、大崎には嬉しくない推測だった。


でも、もしそうだとしたならば、引き下がって指をくわえて見てるのか。


好きな人の幸せを、横やりしたら余計嫌われて終わるのでは?


負のループに陥った大崎に、追い討ちをかけるように、千尋の言葉が鳴り響く。


『もう、私にかまわないでください。』
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