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パステルカラー・オレンジ
第7章 304号室
土曜日、市営の図書館はテスト前の為か高校生であふれていた。


新設の市営図書館は、広くて大きい上に飲み物やご飯も注文できるため、多くの人が常に利用していた。

千尋は入口で踵を返すと、町営の古びた図書館に足を運んだ。


幸い、町営の図書館はガランガランだった。
千尋は気に入ってる席に足を運ぶと、すでに先客が居た。


心臓が、跳ねる。



ち(大崎君だ・・・。)


数日会ってない上に、雨の日のことを思い出すと妙に緊張してしまう。

大崎は、机に伏せて顔を横に向けて気持ちよさそうに小さな寝息を立ててスヤスヤ寝ていた。
2Fに机と椅子だけ並んだ、勉強スペースがあるのだが、その一角は特に外の景色も見れて中学時代に大崎と勉強した場所だった。



腕の下に、勉強しかけの教科書とノート、そして千尋が届けたノートのコピーがあった。


ち(良かった、大崎君ちゃんと受け取れたんだ。)


嬉しくなって、スヤスヤ眠る大崎に近づくと思わず顔をジーっと見てしまう。
横に向けて寝ているため、前髪がサラッと流れて目元や眉毛が見えた。


ち(あれ!?初めて見るけど・・・大崎君って・・・すごく格好いい顔してるんじゃ・・)


気になって、人差し指で前髪をもう少しどけてみる。


ち(やっぱり!すごく綺麗な顔してる!)

目を開けたら、どんなふうになるんだろうかと、気づかないうちに顔を近づけていた。
すると、大崎の目がパチッと開いた。

ち「わっ!」

驚いて、後退りする。

大崎は、ゆっくり身体を起こすと前髪が元の位置に戻る。
千尋の姿を確認すると、いきなりガタッと立ち上がって、広げた鞄に物をバサバサと詰め込んでいく。
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