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パートタイマーの淫乱人妻・美香~主婦の仮面を脱ぐ午後
第7章 熟れた体~遊びのつもりよ
「結婚、してるんですか?」

卓也が私の左手を盗み見るようにして言った。そこには、過去の約束事を示すプラチナの輪の跡が、隠しきれない淡い光を反射している。

「ええ、実は結婚してます」

「そうなんですね」

「夫は医者です」

「へえ、素晴らしい」

「今はインドネシアに居ます。JICAの医療協力で単身赴任中なんです」

「インドネシアか。遠いですね。出張期間は長いんですか?」

「ええ。1年単位で契約更新するので、何年になるかわかりません。もうかれこれ1年になります。今は一人きりの時間が長くて」

丸い氷がグラスの中で乾いた音を立てた。私は彼の視線を逃さないように見つめ返しながら、乾いた喉を潤すようにカクテルを一口含んだ。

「家に帰っても、誰もいないんです」

「……寂しいですか?」

「寂しいですけど……慣れました」

彼の瞳がわずかに揺れた。男が決定的な一線を前にして躊躇するとき特有の、純粋で無防備な揺らぎだった。

「ねえ、卓也くん」

「なんですか?」

「夜って、急に寂しくならない?」

「なりますね。特に、部屋の明かりを消す瞬間とか」

「わかる。私ね、最近ずっとベッドが広すぎて困ってるの」

くすっと笑いながら、薄いカクテルをひと口含む。氷がグラスの底で、澄んだ音を立てた。

「旦那さん、簡単には会えないですもんね」

「うん。だから、男の人に触れられることが…ご無沙汰なんです」

黒いストッキングの脚をそっと組み替えると、衣擦れの小さな音がした。タイトスカートの裾が少しだけ持ち上がり、膝のあたりが卓也くんのズボンに、触れそうで触れない距離まで近づく。

隣の席からは、朱音のあっけらかんとした声が聞こえてきた。

「渉くん、このあとどうする? 私、今日は完全にそういう気分で来てるんだけど」

「えっ、あ、いや、僕は全然ウェルカムですけど……ストレートですね」

「だって隠したってしょうがないじゃん。したいから飲んでるんだし!」

朱音がからからと笑う。その潔いまでのあけすけさが、私たちの間の空気を、不思議なくらいふっと柔らかくしてくれた。

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