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パートタイマーの淫乱人妻・美香~主婦の仮面を脱ぐ午後
第10章 熟れた体~遊びのつもりよ(4)
時計の針が刻む音に、私はふと視線を落とした。

本当はもっと手の込んだ朝食を用意するつもりだった。けれど、心地よい気怠さに身を任せていたせいで、もう猶予はそれほど残されていない。その気怠さは、甘いミルクが底に沈んだコーヒーカップのように、ゆっくりと私の中に残っていた。

「……まあ、いいわ。シンプルで」

メニューをトーストとゆで卵に切り替えた。小鍋に卵を沈め、食パンをトースターへと滑り込ませる。そして、時間がないからこそ、私は一番の得意であるコーヒーにすべてを懸けることにした。

お気に入りの豆をミルに入れ、凛とした手つきでハンドルを回す。

ガリリ、ガリリ

静かな朝の室内に、心地よい金属音が響き渡る。その音は、遠い記憶の扉をゆっくりと開ける鍵のように、私の内側に染み渡っていく。焦る気持ちをコントロールするように、私は丁寧に、均一な速度で豆を挽いていく。

引き出された芳醇なロースト香が、昨晩の甘い空気の残るリビングを、一瞬で洗練された空間へと塗り替えていった。

ペーパーフィルターに美しく整えられた粉の山。その中心へ、細口のケトルから糸を引くようにお湯を落とす。

じっくりと「蒸らし」の時間を置くと、粉はふわりと膨らみ、命を吹き込まれたような美しいドームを描いた。そこから立ち上る焦がしたキャラメルのような濃厚な湯気は、まるで昨夜の熱が形を変えて立ち上ってきたかのようだった。

ポタポタと、サーバーを叩く静謐な雫の音。

やがて、シャワーの音がピタリと止まった。それとタイミングを計ったように、トースターから小気味よい音が響く。

香ばしく焼き上がった小麦の香りと、私が一切の手抜きを捨てて淹れた琥珀色のコーヒー。

たとえ品数は少なくても、この至高の一杯があれば、髪を濡らして出てくる彼を間違いなく優雅な目覚めへと誘えるはずだ。私はカップを並べ、満足げに唇の端を上げた。その笑みは、朝の窓辺に残る露のように、透明で、少しだけ甘かった。

そのときだった。半分開いた書斎のドアから、朱音が顔を出した。

「美香さん、朝ごはんまだ?」

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