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国選種付人物語−種付される人妻たち
第3章 舞風さんと種付人
こんなことなら、舞風に何を言われようと意地を張って『観察』の権利を行使すればよかった。

今さら猛烈な後悔が押し寄せてくる。

​待てよ。渡辺はさっき確かに言っていた。

『観察』は夫の権利で、妻が反対しても行使できる、と。

それなら、今から方針を転換して、あの引き戸を開けて部屋に入ったとしても、制度上は何の問題もないのではないか。

​いや、ダメだ。

僕はさっき、舞風を信じると決めてこの部屋を出てきたんだ。

「隣にいるからね」と彼女を安心させたばかりじゃないか。

今さらそれを覆して部屋を覗き込むなんて、夫としてのプライドが許さない。

​行くべきか、留まるべきか。

頭の中で激しい葛藤が渦巻く。

でも、中からはやっぱり何も聞こえない。

いくらなんでも、静かすぎる。

やっぱりおかしい。

何か不測の事態が起きたに違いないんだ。
 
それだけは、夫として確認しなければならない。

決して舞風を疑っているわけじゃない。

二人の身に何も問題がないか、それだけを確認するだけだ。

​僕は自分にそう言い訳を用意し、正当化するようにして、勢いよくソファから立ち上がった。

客間に続く引き戸の前に立ち、息を殺して耳を近づけた。

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