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真夏の熟果-裂けて堕ちたザクロの緋い実
第5章 まさかの
「でも、折角、自転車で来てくれたんだし、自転車でいいよな」
鈴木壮太が、櫻井翔太に話した。
自転車でいい?
私には意味がわかっていませんでした。
「そうだな。歩くのもいいけど、自転車の方が振動があって…」
櫻井翔太が答えた。
振動?
「mikaさん、とりあえず、そこに自転車を置いて、中に入ってください」
鈴木壮太に誘われて、
『STAFF ONLY』
と、書かれたドアから中へ入った。
そこは、バックルーム。
スタッフ用のロッカーが並んでいた。
「mikaさんって水泳やってたんですよね?」
櫻井翔太が訊いた。
「学生の頃ね。ほぼ20年くらい前」
私が答えると、
「俺達が生まれた頃だね」
と、鈴木壮太が笑った。
二人は二十歳くらいだとは思っていたけど、
やはり、そうなのねと、納得したわ。
あの頃に生まれた赤ちゃんが、
今は、こんなになるのね。
大学在学中に結婚、
出産した友人のことを思い出した。
あの子の子供も二十歳くらいなのね。
娘の凛花も五年後には、二十歳。
「mikaさん、トライアスロンって経験あります?」
櫻井翔太が訊いた。
「ないわ」
端的に答えた。
「そうなんですね。それは残念。俺達、トライアスロンもしているんですよ。mikaさんも一緒に、参加しませんか?」
櫻井翔太が私の顔を見て、誘った。
「あの、私、41歳なのよ。とてもじゃないけど、トライアスロンなんて無理よ」
私が答えると、チッチッチッと、
指を唇の前で左右に揺らしながら、
「トライアスロンをやっている人の平均年齢、知らないんですね。50歳ですよ。ボリュームゾーンは、40歳から50歳ですよ。mikaさんは、ど真ん中、火の玉ストレート!」
と、言って笑う櫻井翔太。
「火の玉、ストレート?」
私が訊くと、
「藤川球児ですよ」
と、答えた櫻井翔太。藤川球児って元阪神タイガースの投手。それくらいは知っているけど、トライアスロンと関係があるの?
って思っていると、そこはスルーして、
「だから、mikaさん、一緒にトライアスロン、チャレンジしましょうよ!」
と、櫻井翔太が話すと、横で頷く鈴木壮太。

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