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真夏の熟果-裂けて堕ちたザクロの緋い実
第5章 まさかの

「江ノ島シーキャンドルの向こうに月は絵になるね」


櫻井翔太が話した。

シーキャンドルの方角を見ると、

確かに月が…。


綺麗…。


雰囲気があって、

こんなところで、

大学時代にデートできていたら。


大学時代の友人が

していた話を思い出した。

彼氏とのデートの話。

月を見ながらキスをした話。

そして、エッチをした話。

『外でのエッチは、いつもの彼の下宿でするエッチとは、全然違って、開放的で刺激的だった』

とか、言っていた。

あの子の彼氏…。

鈴木壮太みたいにチャラかった。

髪の毛をシルバーに染めていて…。

そんなことを思い出していると、

大学時代、まったくモテなくて、

そんな思い出が皆無だった私。

それが、今、

こんなことになっている…。


とはいえ、

二人が私のことを好きなわけではない。

まして、付き合っているわけでもないし、

恋人同士というわけでもない。


単なるカラダだけの関係。


チラッと、歩いてきた歩道が見えた。


歩いてくる人影。

男女一組。


若いカップル。

二十歳前後…。


櫻井翔太や鈴木壮太と同世代。


横にいる二人に、


「二人には彼女はいないの?」


訊いた。


「今は要らない」


櫻井翔太が即答した。


「今は?」


私が訊くと、


「そう。結婚を考えるようになったら、相手探しで付き合ってもいいけど、それまでは、ヤリチンでいようと思っているんだ」


櫻井翔太は真面目な顔で答えた。

私の納得していない顔を見て、


「だって、結婚する相手は一人だけだぜ。何人も付き合っても意味がないだろ。今のところ、結婚したいって女には出会えていない。それがすべてさ」


妙にかっこよく聞こえた。


「俺も同じかな。ま、結婚するかどうかわからないけど。今は好き勝手に生きたい。結婚して落ち着くなんて、まだまだ先のことだと思うし、そんな落ち着きたいと思わないかもしれないし」


鈴木壮太も私の質問に答えた。

それが今風なのかもしれないって思った。


歩道を歩いていたカップルが

こっちに向かってきた。


「おいおい、こっちに来るなよ」


櫻井翔太が苦笑いした。


「仕方がないさ。ここからアレが見たいんだろ」


鈴木壮太が手招きした。
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