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真夏の熟果-裂けて堕ちたザクロの緋い実
第3章 初めての

「本当に、そんなポテンシャルが私にあるの?」


それだけは櫻井と名乗った男に訊いた。


「あるよ。間違いない。さっきからずっと、反応もいいし、感度も高いし、旦那からも言われるんだろ?」


敢えて夫の話を振る櫻井と名乗った男。

もしかしたら、

そんなことを言われたことがないということも

把握済みなのか

と思うくらいに、

確信的に訊く櫻井と名乗った男。


「そんなことは一度もないわ」


素直に答えた。

実際、そんな話をする夫ではなかったから。

夫にとって、性行為は、子供を作るための行為。

だから、二人目を諦めてから、全く性行為はなかった。



櫻井と名乗った男も、鈴木と名乗った男も、

今までのやり取りでわかっていたと思う。



私も、二人がわかって訊いていると思っていた。

ま、確認の意味もあって訊いたのかもしれないけど。



「そうか。ま、今までの話から推測して、そんな感じなのかもしれないとは思ったけど。っていうか、旦那さんって、俺が子供の頃に母親が言っていた『子供を産む機械』発言の某大臣みたいな考え方だね」


櫻井と名乗った男が嗤う。


「そんなこと言ったやつ、いるの?」


鈴木と名乗った男が驚いた。

当時、私は大学生だった。

厚生労働大臣だったか、白髪の老人が、そんな発言をして

ニュースやワイドショーで取り上げられ、

大学でも話題になった記憶があった。

言われてみれば、夫の思想的な背景に、

そういう思考もありそうだった。


『性行為は子供を産むためにするもの』

『子供を作る予定もないのに、避妊までしてする必要はない』


夫は、そういう感じだった。

それに、私はこの時まで違和感を感じていなかった。


「できもしないのに、してもね…」


それが、夫の言葉に対する受け止めだった。

夫の言葉に賛同していたはずの私。

でも、櫻井と名乗った男の言葉で覆った。

価値観が覆ったのか、

それとも、私の貞操概念が覆ったのか、

たぶん、その両方だった。
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